ご当地アイドル自殺 「1億円払え」発言と「高校の費用12万円」めぐる事務所と遺族の食い違い

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佐々木社長は否定

 一方、佐々木社長は電話での「辞めるなら1億円払え」という発言について、明確に否定する。

「まず、間違った報道があるので訂正しておきたいのですが、2019年8月の契約期間満了をもって萌景ちゃんが『愛の葉』を辞めることはあの電話の数カ月も前に決まっていた話です。辞めた後は保母さんになりたいとも言っていて、事務所も承諾していた。だから、あの電話で(『愛の葉』を)辞める辞めないという話になるはずがなく、“辞めるなら1億円”というのもあり得ないのです」

 では、自殺前夜の電話では何を話したのか。

「“お母さんと話し合った結果、全日制の高校に行くのはやめた”と萌景ちゃんが言うので、高校には行った方がいい、と何度も説得しました。しかし、“お母さんと話して決めました”の一点張りで、すみませんと謝り続ける。結局、翻意させることは出来ないまま、電話を切りました」(同)

 事務所スタッフが萌景さんと母親に対して「お金は貸せない」と言ったことについては、

「あの日の午前中、萌景ちゃんのお母さんが事務所スタッフに電話で“萌景が門限の22時までに帰らない、言うことを聞かない”とこぼすので、スタッフが“今日夕方お会いするときに私から注意しましょうか?”と申し出たのです。お母さんは、“ぜひお願いします”とおっしゃった」

 そんな“前段”があったと佐々木社長は明かす。

「そして、お母さんと一緒に事務所に来た萌景ちゃんをスタッフが叱責しました。スタッフは萌景ちゃんが物事を簡単に考えていると感じ、“社長はそんな半端な気持ちでお金を貸すのではない”と言った上で、“もう一度きちんと考えてから必ず今日中に佐々木社長としっかり話をして下さい”と、お金の受け渡しを保留したのです。ただし、スタッフも、その後報告を受けた私も、萌景ちゃんが生活態度を改め反省してくれたら、お金を渡すつもりで用意していました。だからその晩の電話で、高校に行かないと言い出したときも、『いまからお金を持っていくから』と翻意するよう説得し続けたのです」

 いずれにせよ、「貸せない」と言われた萌景さんは母親と話し合い、全日制高校転学を諦めてしまう。“おっきな刃物”が彼女の夢を断ち切ったのだ。わずか16年の、あまりにも短い人生であった。

週刊新潮 2018年10月25日号掲載

特集「闇だらけの『16歳ご当地アイドル』自殺 ショーパブダンサーだった1億円要求『コワモテ社長』の黒い履歴書」より

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