潜入取材「豊洲新市場」トラブルガイド 解ける冷凍マグロ、崩壊する「コールドチェーン」のコンセプト
魚に排水が…
着いた荷物を運搬する“小揚(こあげ)”の一人が言う。
「見たらわかるように、みんな離れたところに車止めて、トラックの横をガバッと開けて、ターレで荷物を運んでるだろ? 外気に触れないようにバックでトラックのケツ突っ込んで、後ろのドアだけ開けて運び出そうとしたら、何倍も時間がかかる。10トントラックとかなら荷台のなかにレールがあって、後ろからでも荷物を出せるけど、4トンとかレールがないから無理」
結果、方々にトラックが無造作に止まって、バースに入れるトラックの台数も限られるので、サッサと魚を降ろして立ち去るように求められる。マグロも解けるわけだ。そのうえ、
「コールドチェーンなんて全然できてない。あの設備はカネはかかっているか知らないけど、まったく意味ないんだよ」(同)
しかも、すでに外気に触れた鮮魚たちは、卸売場棟内で、さらに別のものにも触れていた。
「狭い排水溝が詰まってあふれた水が、床に溜っている。みんな魚を床に置いて洗うから、当然、排水は魚にもかかって、非常に不衛生だと思う。その水調べたら、なんか変なモン入っていると思うよ」
と、60代の卸売。そう聞いて周囲を確認すると、場内の至るところに水が溜っていて、なんと、そのなかに魚が置かれたりしている。いやはや。
また、先のマグロ専門の仲卸が言うには、
「競り場はかなり滑りやすく、ターレの車輪が空回りしちゃうんだよ。防水加工してるんだけど、魚の脂で滑るんでしょう。ハンドル持ってかれて暴走するレベル。築地も滑ったけど、ここはひどい。そのうち事故起きるんじゃないかな」
雪国でもあるまいに、毎日チェーン規制が必要、という状況のようだ。
(2)へつづく
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