潜入取材「豊洲新市場」トラブルガイド 解ける冷凍マグロ、崩壊する「コールドチェーン」のコンセプト

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コールドチェーンは有名無実

 仮に構造的な原因で“バース”が混み合っているなら、マグロは今後も解けかねないわけだ。実際、さるベテランの仲卸は豊洲の構造について、

「荷物が滞留しやすい」

 と、こう説明する。

「築地は扇型の外側にトラックが止まり、中心に向かって一方通行で荷物が流れていた。でも、豊洲は平面でも垂直にも相互通行なんです。水産卸売場棟で言えば、荷物を受けるバースが1階と4階にある。1階には競りにかけたりする卸向けの荷物が、4階には豊洲経由で全国に運ばれるものが届くのだけど、2カ所で降ろすのは面倒くさいじゃないですか。結局、みんな1階で、または4階ですべての荷物を降ろしてしまうから、1階から4階に、4階から1階に、荷物を運び直さなきゃいけない」

 で、卸売場棟1階のバースだけを見ても、

「ここで降ろした荷物は、仲卸売場棟を経由して出荷されるのが本来の動き。ところが一部は、ここから大手スーパーなどに直接出荷されている。荷物を搬入するためのバースが出荷にも使われるので、どうしても荷物が混む。こうなると、バースにトラックを着けず、駐車場から荷物を運んでくる人も出てくる。コールドチェーンという豊洲のコンセプトが、もう崩れちゃっているわけです」

 そこで卸売場棟1階のバースに入ってみると、実に凝った造りだ。シャッターつきの入口がズラッと並んでいて、そこにトラックの後部を突っ込めば、外気に触れずに魚を搬入できるようになっている。

 ところが、である。その構造を活かしているトラックは少数で、多くは離れた場所に駐車し、そこから荷物を運んでいるではないか。

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