潜入取材「豊洲新市場」トラブルガイド 解ける冷凍マグロ、崩壊する「コールドチェーン」のコンセプト

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マグロが解けるワケ

 さて、真っ先に気になるのは、水産卸売場棟1階で行われるマグロの競りだろう。築地といえばマグロの競り、マグロの競りといえば築地、という市場の代名詞だったわけだが、豊洲ではいかに。

「うちはマグロを照らすのにハロゲンランプを使ってるんだよ。これだと赤く映えるからいいんだ。築地でも競り場は赤っぽい照明だった。でも、ここはLEDを使っているから、マグロが白っぽく見えちゃう。鮮度がいいものも悪く見えちゃって、これじゃ目利きに影響するよ」

 と話すのはマグロ専門の仲卸。別の仲卸も、聞き捨てならぬことを言う。

「初日は人の出入りが多くて大変だった。マグロも解けていたからなあ」

 どういうことか。

「築地では、マグロはずっと冷凍車で保管して、競りが始まる直前に並べていた。でも、ここはトラックが荷を運んでくる“バース”というスペースが混み合ってね。それで早く荷物を降ろせということになって、競りが始まるのは5時半なのに、競り場には2時ごろから、マイナス60度くらいの冷凍マグロが並んじゃってね。しかも空調が強力で風も強いので、余計に解けちゃったんだろうね」

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