「100円ショップ」戦国時代 勝ち組“下請け企業”の商品戦略とは

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SNSでバズらせ、ナショナルブランド商品で棚の価値を上げる

 100円ショップを語るうえでは、「インスタ映え」も無視できないキーワードだ。女性の拡散力によってヒット商品となるケースも多い。

「協和紙工(紙製品メーカー)の『プライベートクチュールシリーズ』(香水、口紅、マカロン、パンプスなどをモチーフにした文房具)は、SNS文化が根付いた今だからこそヒットしたのでしょう。“100円でこんなにかわいいのゲットできたよ”と、デザインやコスパの良さを自慢したくなるような商品で、オリジナリティもあります。このシリーズのように、消費者にブランドとして認知されているのは、100円ショップの商品のなかでも珍しい例ではないでしょうか」

 一方で、100円ショップでは、マイナーブランドの商品が多数を占めるなか、「MONO」の消しゴムや「大王製紙」のキッチンタオルといった有名ナショナルブランドの商品も置かれている。大手メーカーは、100円ショップに商品を卸すことで、具体的にどのようなメリットがあるのだろうか。

「メーカーが、同じ商品を100円ショップとコンビニに卸しても、卸値やロットにそこまで両者の違いはありませんが、単純に販路の拡大というメリットがあります。たとえば有楽製菓の『ブラックサンダー』というチョコレートは、キャンドゥの売上ランキングで上位にくるヒット商品です。コンビニだと1個30円で単品買いされるところを、100円ショップでは3個100円で買ってもらえます。100円ショップは、メーカーの重要な販売チャネルとなっているのです」

 大手メーカーの商品を取り扱うことは、ショップ側にとってもメリットが大きい。消費者心理としては、名もないブランドばかりだと手を出しづらいが、ナショナルブランドが並ぶことで安心感を得ることができ、そのショップの棚の価値も上がるのだ。

「成功している下請け企業やメーカーの多くは、クライアント(100円ショップ)と同じ目線に立って、つねに新しいヒット商品を生み出そうと努力しています。消費者が何を求めているのかを第一に考えている下請け企業は、100円ショップにとっては『下請け』ではなく『パートナー』のような存在なのかもしれません」

 小売価格100円という、厳しい条件下での競争を勝ち上がってきた下請け企業の逞しさが垣間見えた。彼らの企業努力には、見習うべきところが多そうだ。

取材・文/松嶋千春(清談社)

週刊新潮WEB取材班

2018年10月24日掲載

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