“メイド・イン・ジャパン”が脱線、死者18人… 「台湾鉄道事故」がもたらす日本への波紋
台湾北東部で起きた特急列車「プユマ号」の脱線事故は、18人が命を落とし、187人が怪我を負ったと伝えられる。発生から3日が立つ現在もはっきり原因は特定されていないが、日本にとって対岸の火事とはいかない可能性も指摘されている。
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現場となったのは宜蘭(ぎらん)県蘇澳の急カーブ。22日に台湾の当局による本格的な調査が始まり、事故直前に運転士が動力の異常を通報していたこと、制限速度の大幅な超過があったことなどが明らかになっている。
すでに報じられている通り、プユマ号は愛知県の「日本車輌製造」が手掛けた車体で、2012~15年の間に台湾に納入されたもの。万が一、機械トラブルであれば大ごとだ。
「事故の映像を見るに、車体がアウトカーブ側に行っていますからね。速度超過は間違いないでしょう。設備故障か、『ATP』など安全装置を切っていたか……」
と、さる鉄道マニア氏はいう。
「『ATP』というのは『Automatic Train Protection(自動列車防護装置)』の略称で、速度オーバーの際に警報を発したり、自動で減速させるものです。日本の列車には『Automatic Train Stop(自動列車停止装置)』、『ATS』が導入されていますが、これとほぼ同じと思っていいでしょう。安全運行のために必要な装置である一方、警報音がうるさく、こうしたシステムを“過剰”と捉えて嫌がる運転士もいると聞きますね」
今回の事故で連想したむきも少なくないであろう、2005年のJR福知山線脱線事故を契機に、日本の鉄道会社ではカーブなどの危険な区間でATSの設置が義務付けられた。
また、1992年の関東鉄道の取手駅で起きた事故との類似性を指摘する声もある。1名が死亡、250名以上が重軽傷を負ったこの事故はブレーキ故障が原因とされているが、プユマ号でも、事故前にブレーキの不備にまつわる報告があったとも報じられている。
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