脱炭素化を進めないと日本はますます不景気になる!(石田純一)

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石田純一の「これだけ言わせて!」 第8回

 中国が世界一の二酸化炭素排出国であることは、ご存じの方も多いと思う。以前から上海の大気汚染はひどかったが、ここ10年ほどは北京でも、すぐ先が見えないほどの汚染が話題になってきた。ところが、そんな中国の姿勢が目に見えて変わってきたのだ。100基におよぶ新規の火力発電所の建設計画をすべて取りやめ、老朽化した火力発電所も稼働を停止し、大気汚染の解消に努めるという。驚くほど急激にクリーンエネルギーへの転換を押し出しているのだが、いったなぜか。それは、世界の巨大マネーが脱炭素社会化を進める企業に流れはじめたからである。

 端的にいえば、背景にはアメリカの巨大保険会社が立ち行かなくなるという事情があり、それはそうした企業の報告にも見えたりする。このままいけば、2030年には地球の平均気温が今より1.5度上昇するという試算があるが、その調子で地球温暖化が進めば、異常気象はさらに頻発し、ハリケーンや山火事が次々と起こり、保険金の支払いがかさんで、今の保険システムは崩壊してしまう、というわけだ。

 具体的には、シティグループはすでに16兆円を次世代エネルギーに転換しようとしている企業に投資し、JPモルガン・チェースは2025年までに約22兆円を、そうした企業に向ける予定だという。もちろん、その分、舵を切れない企業から引き上げようという話だ。安倍政権はいま、アジアへの高効率火力発電所の輸出を提案しているが、そんなことをしていたら資金が次々と引き上げられ、日本は干上がってしまいかねない。

 パリ協定をご存じだろう。2015年にパリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択された国際協定で、地球の気温上昇を産業革命以前にくらべプラス2度未満に抑え、二酸化炭素の排出量を21世紀の末にはゼロにしよう、というものだ。ところが、トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明したものだから、アメリカは脱炭素化に熱心ではない、と誤解されている。だが、実は違う。なにしろ2017年にドイツのボンで開催されたCOP23には、コカ・コーラやマイクロソフト、アップルをはじめ、一定以上の規模の企業の3分の1に当たる2500社が参加したのだ。

 要するに、トランプ大統領がなにを言おうと企業は自社の未来を考えざるをえない。特に日本が焦ったのは、COP23を機に海外の名立たる金融企業が、脱炭素化しない企業に投資しないと決めたからである。クライメート・リーダーシップ・カウンシルのハルステッド会長は「中国でさえ21世紀のテクノロジーに舵を切っているのに、日本が未だに20世紀のテクノロジーを誇るのはどういうことか」と非難した。また、イギリスに本拠があって50兆円を運用する保険会社アビバは、日本企業から撤退を表明。デンマークの年金も撤退した。巨大マネーが続々と撤退し、日本はますます不景気にならざるを得ない。

 能天気な政府が情けないほどに無策でも、経済産業省に自覚がなくても、民間企業がこの危機に気づきはじめているのは間違いない。だが、このままでは世界の潮流に対し、日本は周回遅れになりかねない。そうなる前に、世界の流れに乗りませんか。

石田純一(いしだ・じゅんいち)
1954年生まれ。東京都出身。ドラマ・バラエティを中心に幅広く活動中。妻でプロゴルファーの東尾理子さんとの間には、12年に誕生した理汰郎くんと2人の女児がいる。元プロ野球選手の東尾修さんは義父にあたる。

2018年10月24日掲載

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