“かぼちゃの馬車”みたいな「シノケン」“二重契約”書類

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値引きの対象は

「さすがにそのカネを、シノケンの社員が顧客と山分けしたという話は聞いたことがありませんけど……」

 こう語るのは、シノケンHの元社員だ。

「銀行からの融資は、顧客の口座に入らず、シノケンHに振り込まれます。そこでシノケンHは、融資が承認されて実行される前に、顧客に値引きを提案するのです。すべての顧客に値引きをしているわけではなく、本当に自己資金がゼロだったり、運転資金に不安を抱えている顧客が対象。差額の金は登記費用に充てたり、銀行への繰り上げ返済に回していました」

 そもそも、“二重契約”は法的に問題はないのか。“かぼちゃの馬車”の被害者の代理人を務める加藤博太郎弁護士の解説では、

「値引きは、担保価値の下落を意味する。シノケンHが融資承認、実行後の値引きを銀行に通知していなければ、刑法の詐欺罪に該当する可能性があります」

 そこでシノケングループに聞くと、

「シノケンハーモニーが販売するアパートについては、100%ローン可能な提携の金融機関に対し、物件価格の相当額を目安に融資申し込みを行いますが、審査によっては融資が減額される場合があります。融資が実行されるまでの間に減額分を補うため、自己資金の増額をお願いしたり、物件価格の値引きの提案をさせていただくことがございますが、これは二重契約に該当するものではありません」(法務室)

 が、“二重契約”書は存在し、銀行へ提出した書類の金額と、融資承認後に顧客と交わす契約書では金額が異なっている。

 一方、シノケングループのメインバンクである西日本シティ銀行広報文化部は、

「個別の取引先については、コメントを差し控えさせていただきます」

 入居率99%を自称するシノケングループ。“二重契約”も、独自のビジネスモデルというのか。

週刊新潮 2018年10月25日号掲載

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