学校通信に“うちの子は載せないで” やり過ぎ「個人情報保護」の危険性
今日び、SNSの“中毒患者”が等しく口にするのが「繋がっていたい」という願望である。そんな彼らも、個人情報の流出には神経を尖らせるが、過剰な個人情報保護のせいで、至るところで「繋がり」が断たれ、個人が疎外されつつあるのにお気づきか。
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日本人の美徳として「連帯感」を挙げる外国人が多いが、その土台となってきたのが、地域の絆を大切にする伝統だろう。ところが昨今は、連帯もへったくれもないありさまである。
その昔、子供はみんなで育てるものだったが、大阪市立小の教諭によれば、
「保護者間で連絡を取り合える緊急連絡網は、個人情報の漏洩防止のためになくなった。だから、子供がほかの子の家を訪ね、帰ってこないという場合、問い合わせは学校にきます。でも、相手のお母さんに電話して承諾を得ないと、電話番号を伝えられません」
横浜市立中学の教諭も、
「台風に関する情報などは、どうしても父母に伝える必要があり、一斉メールを配信していましたが、一部の親から“流出が怖いのでリストから外してほしい”という要望があった。しかし、その家庭にだけ伝えないわけにはいかず、担任が個別に電話します。こうしている間に、仲良しグループだけで情報を共有する妙な関係性が構築されています」
そう言って、続ける。
「運動会などでスナップ写真を撮って学校通信などに掲載する際、“うちの子は載せないで”と言う親がいるので、いちいち許諾をもらう必要がある。校外のスポーツ大会も、柔剣道などの個人競技では“うちの子の名前は出さないで”という要望がくる。結果、○○中学校A対○○中学校Bという、奇妙な対戦表ができ上がります。校外コンクールに出す作文も、“○○君と遊園地に行きました”という記述があれば、○○君に名前を出していいか確認し、ダメなら仮名にします。カバンなども見えるところに名前を書かないように指導していて、紛失すると出てきにくくなった。生徒に名札もつけられず、教師も、ほかのクラスの子の名前は覚えられません」
自分だけを守ろうという利己主義が蔓延し、子供同士、あるいは子供と大人の関係性が希薄になった結果、子供たちは守られるどころか、危険に晒されている。
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