TOYOTAとSoftBank提携も… 日本にあって中国にない「自動運転」のハードル
SF小説のなかの話ではなく、現実のものになりつつある自動運転。国内企業の時価総額1位のトヨタ自動車と、2位のソフトバンクグループが自動運転とライドシェア(相乗り)の協業を目的に業務提携を発表した。これで実用化が加速することは間違いないが、わが国で自動運転車が公道を疾走するには、高くて厚い壁があるという。
「『え、マジか』という感じだった」
ソフトバンクの孫正義会長兼社長(61)は10月4日の記者会見で、トヨタ自動車から業務提携の話が持ち込まれたことについて、こうおどけてみせた。実は、孫氏が20年ほど前にトヨタ自動車へ業務提案をした際、それを断ったのが当時課長の豊田章男社長(62)だったからだ。
「自動運転実用化の第一歩は、ライドシェアと一体と考えられています」
こう語るのは、経済誌のデスクだ。
「スマホの配車アプリなどを利用するライドシェアは、米ウーバー社など大手4社が世界市場の90%以上を占めている。豊田社長が記者会見で“ドアを開けると、いつもそこに孫さんがいた”と語ったのは、大手4社の筆頭株主がソフトバンクだったから。それで豊田社長は、“新たに出資するより、提携した方が得策”だと考えたのでしょう」
すでに、ライドシェアは北海道や京都の一部などで実施しているが、
「実施は、あくまで“特例”。原則、ライドシェアは道路運送法で禁じられている“白タク”行為に該当してしまう。それで孫さんは、7月に開催された法人向けイベントでライドシェア禁止について“こんな馬鹿な国がいまだにあることが、僕には信じられない”と、国の対応を痛烈に批判していました」(同)
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