女房子どもの人権も認めない「暴力団排除」 過剰な締め付けが行きつく先は

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 まだまだ手緩い。もっとやれ。お上が進める「暴力団排除」の大号令に、異論を挟む者は多くないだろう。だが、その実態をご存じの方はどれだけいるのか。“坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い”と言うが如く、女房子どもの人権も認めない。そんな矛盾を抱えた施策の代償は……。

 10月の3連休、ある大手都市銀行のATMが、全国で一斉に休止となった。システム移行に伴う改修が理由とはいえ、大量の現金を持ち歩き、クレジットカードが使える店を選ぶ。そんな面倒を強いられ、不便な思いをした方も多かろう。

 実は、そんな日々が日常と化しているのが、暴力団に関係する面々である。

 警視庁担当記者が言う。

「暴力団排除条例や条項によって、多くの金融機関が暴力団関係者の新規口座の開設に応じていませんが、今年に入ってからは、既存の口座の解約も進めています。昨年7月、暴排条項に基づく口座解約を有効とした福岡高裁判決が最高裁で確定したことによって、解約が加速しているのです」

 暴力団の資金源を絶つ、という趣旨に沿ったものではあるが、いわゆるヤクザ本人と、その家族も対象になっていて、

「口座が作れない組員は、女房子どもの口座を利用する場合もあり、暴力団の活動に使用されたという理由で、銀行が次々と口座を解約しているのです」(同)

 2011年までに全国で施行された暴排条例で、暴力団への「利益供与」と「密接交際」の禁止が定められた。ゆえに、銀行口座のみならず、自動車の購入、不動産の賃貸、携帯電話の契約も一切ダメ。暴力団の息の根を止めるためだが、その範囲は思わぬところにまで及んでいるのだ。

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