どれだけ勉強すればいい? “受かればラッキー”のスタンスもアリ 知らないと損する「公立中高一貫校」ガイド

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知らないと損する「公立中高一貫校」ガイド――おおたとしまさ(2/2)

“学力試験”を経ずに中高一貫校教育を受けられることから、公立中高一貫校の人気には拍車がかかる。一般的な中学受験と問題傾向が異なる「適性検査」が実質的な入試にあたるが、合格の難関化は進行。塾に通わずに合格したケースは年々減ってきている、という。

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 どれだけ勉強すれば、公立中高一貫校に合格できるのか。公立中高一貫校専門情報サイト「むぎっ子広場」の運営に携わる畠山一徳さんの見解はこうだ。

「その答えは、公立中高一貫校にどれくらい本気で行きたいのかによって変わります。できる範囲で対策をして、ダメなら地元の中学校に行けばいいやと思っているのならば、むぎっ子広場の通信添削で問題形式に慣れておくだけで、受けてみるのもいいでしょう。地頭の良い子であれば、合格を勝ち取ることができます。毎年そういう児童が一定数います。しかし、合格を強く望み、少しでも確率を高めたいのなら、適性検査対策だけでは不十分です。私立中学受験と同様の4教科型の勉強をして、基礎知識と基礎学力を強化しておいたほうがいい。具体的には地方の公立中高一貫校でも『小学校の教科書+20%』の知識が必要です」

 ちなみに、地方の公立中高一貫校の合格確率を高めるために必要なのが「教科書+20%」の知識だとした場合、私立中高一貫校への合格を目指すために必要な知識は、どれくらいだといえるのか。畠山さんの個人的な見解としてはこうだ。

「中堅校なら教科書+20%、上位校なら+100%、難関校なら+200%以上といったところでしょうか」

 では、首都圏の公立中高一貫校はどうか。四谷大塚の偏差値表を参考にすると、東京都の公立中高一貫校は私立の上位校から難関校くらいに位置する。つまり本気で首都圏の公立中高一貫校対策をするならば、「教科書+100~200%」の知識が必要になる。

「首都圏1都3県の公立中高一貫校の適性検査は、全国的に見ても難解です。ある程度、私立中学受験用の勉強をしておかないと太刀打ちできません。問題文の導入部が長いだけで、結局は私立中学入試に頻出の特殊算の考え方が問われている場合がありますから。一方、地方は難易度は低いものの、形式としてはより露骨に私立的な問題を出す傾向があります。たとえば沖縄の適性検査は、私立中学入試問題そのものです」

 いずれにしても、従来の私立中学受験用の4教科型の勉強はしておいたほうが有利だということだ。都立中高一貫校対策に特化した学習塾「ena」でも、適性検査型問題への対策だけでなく、特に算数については、私立中学受験対策とまったく同様の問題にも取り組んでいた。

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