シカゴ「大迫傑」の1億円走 陰にあった“キメラ”と“ナイキ”

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税込み2万8080円

 そんなこんなで今大会、陸連の思惑通りにはメディアは集まらなかったが、皮肉なことにそこで日本新が出た。悲しいかな、大迫の快走を激写したカメラマンもほぼ皆無だが、数少ない現場映像を漁ると、そこには奇妙な現象が写っていた。

 上位選手のほとんどが同じシューズを履いていたのだ。30キロ地点で形成された先頭集団を見ると、9人のうち実に8人がオレンジの厚底シューズを履いていた。

 ナイキ製である。

 ナイキ所属の大迫ももちろんこのシューズを履いていた。いったいどんなシューズなのか。

「マラソンシューズは、“いかに薄く作るか”で各社鎬(しのぎ)を削っているのですが、ナイキだけは逆で、踵(かかと)が3センチ以上もある厚底の開発を進めているのです」

 と陸連関係者が明かす。

 靴底に特殊なカーボンファイバー製プレートを埋め込んでおり、足が疲れない。それどころか、坂道を下っているかのような推進力を感じるのだとか。“ドーピングシューズ”なんて渾名もある。

「開発の中心的存在のキプチョゲが9月のベルリン・マラソンで人類初の2時間1分台をマーク。“初めて履いた瞬間に惚れた”という大迫も“厚底信者”です。その大迫以上に心酔しているのが設楽で、“厚底じゃないと走れない”とまで言い切っています」

 シューズは「ヴェイパーフライ4%」という名で市販されており、お値段は税込み2万8080円。市民ランナー垂涎の的とあって品薄状態らしいが、スポーツの秋に一足いかが?

週刊新潮 2018年10月18日号掲載

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