余計なお世話「たばこ」警告メッセージ 識者が警告する“社会的イジメ”

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ゼロリスク信仰

 今年に入ってから、東京都は「受動喫煙防止条例」を可決成立させた。小池知事は、国と共に東京五輪までを目標に禁煙社会を実現すると意気込むが、背景にはゼロリスク信仰があると、東海大学教授で室内環境学が専門の関根嘉香氏が言う。

「世の中のあらゆるモノにはリスクがつきもので、排ガスなどを槍玉にゼロリスクを唱えたら、社会生活は営めなくなります。喫煙者不採用の企業の例でも、喫煙者がたばこの臭いを発するからといって、非喫煙者が肺がんになるリスクは低いです」

 稀に化学物質過敏症という病に罹(かか)れば、たばこの臭いで体調を崩すというが、

「そのような方は、微量の排ガスや印刷物のインクの臭いも受け付けませんから、どんな人にもクリーンな室内環境を実現するのは、現実的になかなか難しい。科学的に考えれば、企業が不採用にする必要性があるのかは甚だ疑問ですね」(同)

 ちなみに、関根教授は非喫煙者で、個人的にはたばこが大嫌いだと話を継ぐ。

「子どもは自分と異質な存在をイジメてしまう、とよく言われますが、大人の社会全体からも寛容性が失われていると感じます。個人の嗜みである喫煙という選択肢を奪うルールを国が作り、たばこを排除することに成功したら、次のターゲットが生まれてくるような気がしてなりません。自分とは違う価値観への締め付けを許せば、極端な話をすると香水もダメ、加齢臭もダメという時代がくるかもしれない。だから、何事も100%を追求するのはやりすぎだと思うのです」

「一服」の余地なく突き進む世相を良しとすれば、その矛先はやがて自分のところへ転じてくるかも――。

週刊新潮 2018年10月18日号掲載

特集「過ぎたるは及ばざるがごとし」より

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