“タダ同然で中高一貫教育”で人気沸騰! 知らないと損する「公立中高一貫校」ガイド
塾に通わず、は減っている
たしかに公立中高一貫校が設立された直後の数年は、塾に通わずに合格したというエピソードをいくつも聞いた。しかし、そういうケースは年々減ってきている。当初そのような合格者が一定数いた背景には、実は初期の適性検査における構造的な欠陥もあったのだ。
東京都の公立中高一貫校の適性検査は、基本的に「適性検査I」「適性検査II」からなる。「適性検査I」は、いわゆる「作文」、「適性検査II」は三つの大問からなる。1は主に算数分野、2は主に社会科分野、3は主に理科分野に主眼が置かれている。さらに「適性検査III」を実施する学校もあるが、基本的な出題形式は「適性検査II」に似ている。
「開校当初の各校の適性検査問題は、たしかに優れた問題ではあったが、難問が多すぎた。小学生の実像に合っていなかった。その結果、合格者の適性検査IIの平均正答率が3割程度で、ほとんど差がつかず、結局、適性検査Iの作文の良し悪しで合否が決まっていたというケースもあった。ひどいときには、適性検査IIIで0点だった受験生が合格していることもあった」
都立中高一貫校対策に特化し、ここ数年、募集定員の半数以上を合格させている学習塾「ena」の小学部長・山口真さんの発言だ。
小学校の成績が得点換算されて評価の対象になることは全国共通だが、それ以外の選抜の方法は、都道府県によって違う。
たとえば千葉県立の公立中高一貫校では、「1次検査」と「2次検査」があり、「2次検査」では「集団面接」も行う。埼玉県立では、1次選考で「作文I」と「作文II」、2次選考で1人あたり10分程度の「個人面接」がある。神奈川県立では、「適性検査I」「適性検査II」と「グループ活動による検査」がある。東京都の場合、面接がない。これが全国的に見て非常に珍しいことは、東京ではあまり知られていない。
私立中高一貫校入試のような難問奇問は出ない、といってもかなりの問題数である。それほどじっくり考える時間が与えられているわけではない。解きやすい問題を選んで解く、作文のネタを用意しておくなどのテクニックを含め、やはりそれなりに対策をしなければ太刀打ちできない。ただし地方には、小学校からの報告書、作文、面接だけで選抜される学校もある。
(2)へつづく
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