頭突き事件、いもジュリー事件…ライブ中止「沢田研二」は今も昔も“お騒がせの人”

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双眼鏡を持つ観客に逆ギレ

 しかし、これから沢田は、最初の頂点に達する。77年5月に発売された「勝手にしやがれ」は約90万枚のヒット、第19回レコード大賞を受賞する。奇抜なメイクや服装で世論に挑戦状を叩きつけながら、バラエティ番組でコントを演じる懐の深さも見せ、スター街道を疾走する。

 87年には約18億円と報じられた慰謝料を払って伊藤エミと離婚。この頃すでに不倫関係にあった田中裕子(63)と89年に再婚するのだが、この間にあたる88年に、酒気帯び運転を起こしている。「FLASH」88年6月7日号「沢田研二が酒気帯び運転で激突、三たび警察沙汰に」を引用させていただく。

《歌手・沢田研二(39)がまた交通事故を起こした。5月20日午前2時40分、BMW(中略)を運転中、世田谷区上野毛4丁目の交差点で一時停止を無視、●●●●(編集部註:原文実名)さん(64)運転のタクシーの右後部に衝突したのである。幸に●●さんと乗客に怪我はなかったものの、沢田はなんと酒気帯び運転。下北沢(世田谷区)の居酒屋で、1人で日本酒を3合ほど飲んでいたという。
 沢田の交通事故は今回で3度め。14年前の無免許時代には開けたドアに走行中のバイクがぶつかるという軽い事故を起こしているが、一時停止無視の事故は昭和59年7月4日に次いで2度めである。その時はカメラマンの乗ったオートバイをはね、全治2週間の怪我を負わせている。沢田は再び書類送検されるが、まったく同じミスによる事故、しかも今回は酒を飲んでいたというのだから、弁解の余地なしというところだろう》

 80年代後半から、沢田の楽曲は批評家や音楽ファンからは高い評価を得るが、ヒットチャートにランクインする機会は激減していく。そんな中、ライブでの“奇行”が報じられることが増えていった。

◆「コンサート会場はシ〜ン 沢田研二が追っかけファンにマジギレ大説教」(「週刊現代」99年11月13日号)

◆「沢田研二(66) いまさら『ファンに暴言』というけれど 『コンサートの掟』知ってます?」(「女性セブン」2015年2月19日号)

 この「女性セブン」の記事は、沢田研二のライブを見に行くにあたっての“指南書”の赴きがあって興味深い。15年1月20日に東京国際フォーラムのライブで、沢田研二が「イスラム国人質事件」について自説を滔々と披露。これに観客が「歌って〜」と呼びかけると、沢田が激怒して「黙っとれ! 誰かの意見を聞きたいんじゃない。嫌なら帰れ!」と怒鳴りつけたという騒動が発生したのだ。

 記事によると、「歌って」と「頑張って」は最高度のNGワード。双眼鏡も絶対に持参してはいけないアイテムだそうで、「さっきから双眼鏡で見ているやつ、顔よりも下のところを見ている。視姦されているようで気分が悪い!」と激怒したことがあるという。

 2000年代の沢田研二は、ある意味で立川談志(1936〜2011)に似ている。観客に緊張を強いる“芸風”なのだ。公演のドタキャンぐらいで眉をひそめていては、とてもジュリーのファンは務まらないのだろう。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月20日掲載

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