「パワハラ」なぜ増えた? 15年で相談件数は10倍以上 “加害者にされた”訴えも

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些細な業務上の叱責が

「これまでなかなか言い出しにくかった問題が、パワハラという言葉に託すことで、表現しやすくなったのだと感じています」

 と話すのは、10年前からネット上で「パワハラ相談室」を運営している社会保険労務士の原田恵一氏。最近では「加害者にされた」という相談も多いという。

「パワハラ認定に際しては、“加害者”への聞き取りも必要ですが、相談に来る“加害者”のほとんどは聞き取りをされていません。あるいは、聞き取りがあっても通り一遍で、主張はまったく聞いてもらえていないのが現実です」

 結果、些細な業務上の叱責が、パワハラ認定されかねないわけだ。その多くは次の二つのケースに当てはまるという。

「一つは、パワハラ報告を受けて調査を始めた人事部が、結果を出さないわけにはいかず、処分してしまうケース。もう一つは、会社もしくは社内の誰かが、パワハラへの処分を下して得するケース。“加害者”からの相談の多くは二つ目に該当します。たとえば、社員のリストラを進める必要があるとき、パワハラの通報は、会社にとって渡りに船というわけです」

 これら二つに該当して処分されるのは不運だが、運がからむ以上は、だれもが陥る危険性がある。

「パワハラの加害者側が、世間や企業のなかでケアされていないと感じたことから、今年5月、一般社団法人パワーハラスメント防止協会を設立しました」

 と語るのは、同協会の田中恵理事長である。

「社内通報されるなどして、まだ加害者と確定していない人は“推定加害者”と呼ばれます。いま、その推定加害者がメンタル不調に陥るケースが増えています。協会では加害者の更生プログラムも行っていますが、10人に1人か2人は、メンタル面の問題で参加できない。おそらく、人事が推定加害者にパワハラ加害者の烙印を押して、ダメな人として扱った結果でしょう」

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