社内の人付き合いも仕事のうち! 要領よく済ますコツを佐藤優が伝授
秋は異動のシーズン。新しい部署や新しい支社に、緊張を感じながら出勤している人もいるのではないだろうか。
人付き合いが得意な人ならば、新しい環境にすぐに馴染むことが出来るだろうが、そうでもない人は、気苦労が絶えないことだろう。
もちろん、人付き合いがうまく出来なくたって、仕事が出来れば文句はないだろう、という方もいるだろう。しかし、組織の中で円滑に仕事をするためには、どんなに本人が拒否しようとも、ある一定の人間関係を築かないわけにはいかない。とはいえ、その「一定の人間関係」を築くのが大変なのだ。
外務省に長年勤め、上司や政治家に仕えてきた経験を持つ元外交官で作家の佐藤優氏は、著書『組織の掟』の中で「社内の付き合いを疎かにしてはいけない」と語りつつ、要領よく人付き合いをするコツを明かしている。(以下同書より抜粋)
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人間は社会的動物である。それだから、群れを作る。会社に派閥があるのは当然のことだ。派閥という名は持たなくても、会社や役所に勤めている人は、いずれかの緩やかなネットワークに参加している。組織の中で生きていく以上、特定の派閥かネットワークに加わることは、不可欠だ。
もし、派閥やネットワークにまったく参加していない人がいるとすれば、その人は能力が劣っているか、性格的に他人と信頼関係を構築することができないので、仲間に入れてもらえないのである。
だから社内のコミュニケーションを円滑にする付き合いは、きちんと消化すべきだ。課内旅行や親睦会は、2次会を含め、付き合うべきだ。
筆者と対談したときに、竹中平蔵さんがビジネスパーソン時代の経験を披露していたが、2次会がカラオケのときは、出口に近い席をとっておき、早いうちに2曲くらい歌を歌って、「あいつはいた」という印象を確実に残した上で、静かに帰って、時間を無駄にしないようにしたということだが、こういうノウハウを身につける必要がある。
重要なのは、「あいつは人付き合いの悪い変わり者だ」とか「人間嫌いだ」という評判を立てられないようにすることが重要である。会社(役所)勤めは、要領をもって、その本分とするということを忘れないようにする。
とはいえ、社内の人との付き合いで、毎日同じメンバーで昼食に行ったり、毎日のように居酒屋に行くというスタイルはよくない。どうせ上司や同僚の悪口を言い、「俺(私)は、能力があるのに、組織がそれを正当に評価してくれない。こんな会社(役所)なんか、いつだって辞めてやる」と愚痴を言うばかりだ。仲間同士で上司や同僚の悪口を言う習慣がついたり、ネガティブな話だけをしていると、時間を無駄にするだけでなく、瘴気にあてられて、仕事にも私生活にも悪影響を与える。
こういうコミュニティーからの誘いには、「資格をとるために学校に通っています」とか「大学時代の友だちと約束していて日程を変えることができません」とか言って、極力逃げることだ。後ろ向きのエネルギーを蓄積した人とは、極力接触しないようにする。
ちなみに仕事の後、資格をとるために専門学校に通う、仕事で必要な知識を身につけるためにカルチャースクールや大学の公開講座に参加するというのは、仕事に役立つ力をつけるのみならず、外部に理解者を作るよい機会になるので、積極的に活用することを勧める。
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社内の人付き合いは時間をかければ良いというわけではなく、要領よく「付き合いのいいやつだ」と思わせることが大事なようである。