国立がん研究センターだけで稼働中の「すい臓がん」狙撃マシーン 今後の課題は

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 がんを抑え込む方法は数あれど、放射線療法は化学療法と並びメジャーな治療法のひとつ。中でも国立がん研究センター中央病院(東京)は、日本で初めて導入した最新機器を使い、難治がん患者に対して成果をあげている。挑む相手はすい臓がん。死亡率が増加の一途で「がんの王様」と呼ばれる強敵を、この狙撃マシーンはどう迎え撃つのか。

 医療技術の進歩で、がんの死亡率は徐々に減少している。そんな傾向に逆らうかのように、増加の一途を辿るのがすい臓がんである。

 日本人の“三大がん”と呼ばれる「肺がん」「大腸がん」「胃がん」に迫る勢いで、死亡者数は女性では胃がんを抜いて3位、男性は5位。「がんの王様」と恐れられるのは、死亡者数のみならず、10年生存率が5%と極端に低いことに由来する。

 記憶に新しいところでは、今年1月に亡くなった“プロ野球界の闘将”星野仙一氏や元横綱・千代の富士の九重親方も、発見から1年半以内で命を落とした。重篤化するまで自覚症状がほとんどないのが理由である。

「私どもの病院に来る患者さんは、約7割の方が近くの臓器に転移しています」

 とは、国立がん研究センター中央病院放射線治療科長の伊丹純氏だ。

「すい臓には血管やリンパ管が集中しているため、それらを通じて肝臓や胆のう、十二指腸、肺などに転移しやすい。治療の対象になるのは、がんがすい臓にとどまっている方に限られますが、それでも治癒に向かうのは、対象患者のわずか5%に過ぎません」

 せっかく手術で患部を切除しても、がんはすい臓に絡みつく血管にすぐ食いつき転移してしまう。おまけに太い血管なら簡単に手術できない。そんなジレンマを医者は抱えている。

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