「旭日旗」問題 海自OBは「韓国海軍の軍人が一番恥ずかしい思いをしている」と指摘

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旭日旗の本格的な反対運動は今回が初

 例えば2010年、海自の練習艦「かしま」「やまぎり」、護衛艦「さわゆき」は、156日間の遠洋練習を実施した。11か国を訪問し、15の港に寄港したが、その中に韓国の釜山港が含まれていた。

「停泊中は午前8時から日没まで軍艦旗を掲揚します。国旗と同じように掲揚と降納時にはラッパ手が『君が代』を吹きます。そして外国の港に寄港している場合は、その国の国歌も演奏します。釜山の入港時は韓国の国歌『愛国歌』にも合わせて、朝に旭日旗を掲揚し、日没時には降納しました。隣に韓国海軍の軍艦が停泊していれば、我々は韓国海軍の軍艦旗に敬意を表します。そして隣の韓国海軍の乗組員も、同じように旭日旗に敬意を示します」(同・海自OB)

 著作権上の当否は不明だが、この練習艦隊が釜山に入港する動画はネット上で検索・視聴が可能だ。釜山の岸壁では韓国海軍の水兵が手を振り、軍楽隊が演奏して歓迎。韓国海軍中将らが来艦し、海自が栄誉礼で迎える映像には旭日旗が風に翻る。

 これまで海自の船舶が旭日旗と共に韓国の港湾に入港しても、現在のような本格的な反対運動は全く起きなかった。念のため、98年に初入港時の記事「韓国初訪問の自衛艦歓迎式/釜山」(読売新聞96年9月2日)をご覧いただこう。

《海上自衛隊の艦艇として初めて韓国・釜山港に入港した練習艦「かしま」と護衛艦「さわゆき」の練習艦隊二隻は二日午前、同港の第八ふ頭に接岸して乗組員が上陸し、韓国海軍主催の歓迎式に臨んだ。
 午前八時半すぎ、港内の停泊地から移動した「かしま」は、韓国海軍軍楽隊の歓迎演奏の中、ゆっくりと接岸。同艦から投げられたもやい綱を韓国側の水兵が受け止め、しっかりと岸壁につなぎ止め、「さわゆき」も続いて接舷した。練習艦隊の山田道雄司令官(海将補)は、出迎えた徐栄吉・韓国海軍第三艦隊司令官(少将)とがっちり握手した。
 ふ頭前では、同日朝、反日運動市民団体の数十人が「皇軍の復活反対」を叫んで集会を開き、デモを行ったが大きな混乱はなかった》

「ちなみに98年は故・金泳三(1927〜2015)政権で、2010年は李明博氏(76)が大統領でした。やはり、相当な左派とされる文在寅(65)政権になってから、対日強硬派の発言力が増したと見るべきでしょう。そして、一番恥ずかしい思いをしているのは、韓国海軍の軍人に違いありません。我々、現場組には、世界共通の常識というものがあります。そして韓国の世論と政府の要請は、桁外れの非常識な内容だったことは明らかです。ちなみに私は日本人がサッカーW杯で旭日旗を使って応援するのも、本音を言わせてもらえば、止めた方がいいと思っています。旭日旗は軍艦旗なのです。そういう観点からしっかりと敬意を払ってほしいのです」(同・海自OB)

 ちなみに韓国の与党「共に民主党」の李錫玄(イ・ソクヒョン)議員(67)は2日、韓国の領海を「旭日(きょくじつ)旗」をつけた船舶を通過できなくする法案を国会に提出した(「韓国与党議員、「旭日旗禁止」法案を提出 観艦式を前に」朝日新聞電子版:10月2日)。

 しかし軍艦は治外法権。いくら韓国の国内法を整備しても、海自は旭日旗の掲揚が可能だ。韓国社会は少し冷静になるべきではないか。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月6日掲載

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