“がん”を水攻めで破裂死――新たな治療法「光免疫療法」 開発した医師が解説

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臨床が「原動力」に

 冒頭に挙げた「三大治療法」は、いずれもがん細胞の数を減らすのが目的である。が、小林医師いわく、

「それらは、治療の過程で正常な細胞も潰すだけでなく、体の免疫力まで落としてしまう。手術では免疫細胞ごとがんを摘出し、さらには免疫を司るリンパ節まで摘出する場合が多く、大きな穴が開いて体への負担が大きい。放射線の場合は最初の治療で、リンパ球の一種でがん細胞を攻撃する作用がある『T細胞』が死滅してしまうので、腫瘍の成長を抑える『腫瘍免疫』が見込めない。また抗がん剤も、増殖するがん細胞をターゲットとするものが多いが、同時に体内で増えている免疫細胞もやられてしまい、やはり腫瘍免疫が効かなくなる。つまり、従来の三つの標準治療は、がん細胞とともに免疫力にもダメージを与えてしまうのです」

 今回の光免疫療法には、そうした負の作用はない。小林医師自身、画期的発見の下地には、臨床医時代の“体験”があったという。

「研究者に転じる前、私は10年以上にわたって放射線医を務めてきました。当時、放射線は治療チョイスの中で後回しにされていた。外科治療が最初で、そこで手の付けられないがんが回ってくるパターンが大半。そんな状況で、自分が担当した患者さんが立て続けに亡くなるケースを目にしました。この悔しさが、光免疫療法の研究の原動力に繋がったのかもしれません」

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