北海道大地震、もし冬だったら… 原発再稼働を考える(KAZUYA)

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 北海道に生まれ育ち、初めて一人暮らしをした時に住んでいたアパートは、エアコンがありませんでした。風通しが良ければ夏でもエアコン不要なのですが、僕の部屋は風通しが最悪で……それはもう地獄。一方で冬になると厳しい寒さです。ストーブをつけないと寒くて生活できません。

 灯油代も安くないし、電気代もかかるので寝るときはストーブを消すのですが、隙間風のせいか起きると吐く息が白いレベルの寒さです。もし冬場に停電になったら……と考えると恐ろしくなりました。

 9月6日、北海道を襲った震度7の大地震。僕の故郷の帯広市は、震度4程度だったので建物などは無事でしたが、全道的な停電には驚きました。電気は需要と供給の量を一致させるように発電しなければ、周波数が乱れて最悪停電になります。今回は苫東厚真火力発電所が地震で停止したため、需給バランスが崩れてしまいました。

 苫東厚真発電所の耐震基準が震度5程度だったことが、そもそも問題であると指摘されていますが、根本的には北海道の電力の半分を苫東で賄っているのが間違いでしょう。

 例えるなら、甲子園をエースピッチャー1人で投げ抜くようなものです。エースが倒れたらチームも崩れます。北海道はまさにそのような状態にあったのです。その後順次電力は復旧していきますが、需給バランスとしては綱渡り状態が続き、余裕がありません。甲子園もエースレベルと言わなくても控えピッチャーが必要なように、発電も同じです。

 北海道の場合、エースピッチャーレベルの泊原発君が控えているのですが、休養を命じられた挙げ句、入念なボディチェックを受けています。原発は安全性やイデオロギーが絡み合い、複雑な問題です。将来的な撤廃を目指すのなら、それもいいでしょう。しかし電力供給が綱渡りの状態で冬を迎えるという現状を考えると、安定的な電力供給のために原発再稼働を視野に入れるべきだと思うのです。

 もちろん原発再稼働のリスクはあります。ただ、北海道で冬に停電するのは死活問題なのです。部屋に据え付けられたストーブの燃料は灯油ですが、電気がないと動きません。オール電化の家もあります。

 これでもし冬に停電になったら暖房もつけられず、帯広で言えば冬の最低気温は連日マイナス10℃以下、最高気温もマイナスという中、凍えながら生活する破目になります。今回のように地震による停電というパターンだと、さらなる死者が出ることも想像に難くありません。

 雪もリスクになります。白くて境界がわからず除雪車もスムーズに入ることができないでしょうし、凍結で移動も困難になります。今回は停電で信号も止まりましたが、冬の北海道は道路脇に雪が積み上がり、特に交差点は見通しが良くない場合があって、事故も予想されます。さらに暖房停止で水道管が凍結する可能性もあります。

 冬の停電は死活問題です。安定的な電気の供給のためにもイデオロギーを超えて泊原発再稼働に動くべきじゃないでしょうか。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者40万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2018年10月4日号掲載

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