自民党総裁選で“食い逃げ”… カレーライス事件で取り沙汰される“裏切り者”の名

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“裏切り者”の実名

 一体、安倍総理を裏切ったのは誰なのか。それを象徴する出来事として新聞などで取り上げられたのが、「カレーライス事件」である。前述したように安倍総理が獲得した国会議員票は329票だったが、その投票直前に安倍陣営が開いた出陣式でカツカレーを食べた議員の人数はそれよりも3〜4人多かった。つまり、カレーを食い逃げした不届き者の議員が3〜4人いる――これが、安倍陣営の甘利明・選対事務総長が命名した「カレーライス事件」の概要で、当然、“犯人”は誰なのかという話になるのだが、コトはそう単純ではない。というのも、

「出陣式には自民党籍のない議員も2人いた、といった情報もあり、“食い逃げ犯”の人数が何人なのかすら定かではない。ただ、事前の予想に反して、20人ほどの議員が安倍総理側から石破さん側に流れたのは事実。その“裏切り者”を巡っては、すでに様々な実名が取り沙汰されています」

 先の政治部デスクはそう明かすのだ。

「名前が挙がっているのは、岩手県選出の衆議院議員の高橋比奈子氏(麻生派)。彼女は、地元で行われた安倍総理支持派の集会に顔を出していませんでした。同様に、兵庫県選出の衆議院議員の谷公一氏(二階派)も、総理支持派の集会に顔を見せず、電話作戦も熱心にやっていなかったという理由で疑われています」

 この2人に関しては、投票前から、裏切る可能性のある人物として安倍陣営にマークされていたという。

「実は、安倍陣営は秘書などのスタッフを全国に派遣して、裏切りが疑われる議員の動向を監視させていました。そして、そのスタッフから、集会への参加不参加や電話作戦への力の入れ方を報告させ、締め付けを強化していたのです。つまり、高橋氏と谷氏の2人は、以前から安倍陣営の“行動確認”の対象になっていたということです」(同)

 疑いの眼差しは、今回、立候補を見送った岸田文雄政調会長の足元にも向けられている。

「岸田さんは立候補を見送ったとはいえ、安倍さんに大きな恩を売る格好にならなかった。そのことを残念がる声が岸田派内部にはある。三重県選出の衆議院議員の三ツ矢憲生氏も、主戦論を唱えていた一人で、岸田さんの不出馬に対してガックリきていた。そうした背景があるので、三ツ矢氏は岸田さんの指示に従わず、石破さんに投票したのではないか、と疑われています」(同)

 今後も“犯人捜し”は続くと見られている――。

週刊新潮 2018年10月4日号掲載

特集「新聞テレビが報じない 『総裁選』の遺恨十年」より

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