「麻生財務相」は自殺者出しても留任 自民党議員は「皆、ありえないと思っている」

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沖縄県知事選で敗北し、来年の夏は参院選

 さる政治担当記者も「麻生財相の続投は、やはり問題だと思います。私が重視するのは、自殺者が出た点です」と指摘する。

「森友学園問題では3月、学園側との交渉を担当した部署に所属していた近畿財務局の男性職員が兵庫県内で自殺しました。決裁文書の書き換えを担当させられ、遺書は『勝手にやったのではなく、財務省からの指示があった』との内容だったとも報じられました。財務省は公文書改ざんという大問題を引き起こし、そのために人命が失われたも同然です」

 それでも続投の理由は、「安倍さんにとって、麻生さんは自分の後ろ盾」だからだ。

「総裁でも支援してもらったし、論功行賞で続投させる気持ちもわかります。しかし、森友問題の責任の一端は、安倍さんの昭恵夫人にもあるというのは衆目の一致した見方です。自分の妻が引き起こした問題で、自殺者が出てしまった。にもかかわらず、安倍さんは麻生さんに留任を依頼する。麻生さんも辞退せず、留任を受け入れる。どう考えてもおかしな話です。一般国民の感覚とはあまりにもズレていると言わざるをえません」(同・政治担当記者)

 自民党のベテラン議員もこう本音を語る。

「普通なら当然、責任をとって辞めるべきだろう。だいたい、永田町でだけでなく一般社会でも、組織におけるトップとは何か不祥事が起きた際に、責任を取るために存在するもだ。安倍さんは、その点をどう考えているんだろうね。自民党内でも、よほどの“安倍シンパ”を除けば、今回の麻生続投は本音を言わせてもらうと皆、ありえない人事だと思っている。“安倍一強”で総裁選も終ったばかりだし、誰も口に出して言わないだけですよ」

 こうした状況の中、9月30日に投開票が行われた沖縄県知事選では、前衆院議員(自由党・沖縄3区)の玉城(たまき)デニー氏(58)が当選。自民、公明、維新、希望が推薦した前宜野湾市長の佐喜真淳(さきま・あつし)氏(54)が落選した。

「安倍首相が『安倍1強』と呼ばれる権勢を確立した理由の一つに、選挙に勝ち続けてきたことが挙げられます。自民党総裁選で3選を果たし、いよいよ内閣改造という直前に届いた敗北の報は、幸先が悪いことは言うまでもありません。麻生大臣に対する批判がくすぶり続け、来年の夏に行われる参院選で野党の伸長を許すというのが、自民党にとっての最悪のシナリオとなります」(同・政治担当記者)

 安倍首相は第1次政権時、2007年の参院選で大敗して「衆参ねじれ」に直面。辞任に追い込まれたという苦い過去を持っている。

 だが12年に首相に返り咲くと、13年の参院選を「6年前に参院選で惨敗した。親のかたきのようなものだ。取り戻さなければ、私は死んでも死に切れない」と発言して話題となった。実際に参院選で自民党は大勝を収め、「衆参ねじれ」の解消に成功している。

 そして来年、再び参院選がやって来る。「選挙に強い安倍」の本領を発揮すれば何の問題もない。だが麻生財務相が原因で議席を減らすようなことになれば、それこそ自業自得という他ないだろう。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月2日掲載

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