“就活ルール廃止”で起きる異変 大学1年時から競争に?
「就活」の歴史をひもとくと、わが国初の就活ルールは1928年(昭和3年)に遡る。三菱財閥などが“青田買い”の禁止を申し合わせたことに端を発しているから、ずいぶんと古いのだ。ところが、すぐに抜け駆けする会社が現れて、申し合わせは形骸化。以後、大学生の採用は、約束を作っては破られるという繰り返しが延々と続いてきたのである。
そんな、尻抜けのルールなどもう要らないというわけか、経団連の中西宏明会長が廃止に言及したのは、9月3日のことだ。
〈個人的な見解だが、経団連が採用日程を采配すること自体に極めて違和感があります〉
簡単に説明しておくと、経団連は「就活」について自主ルールを定め、加盟企業に遵守を求めてきた。
つまり、大学3年の3月に会社説明会とエントリーシートの提出、4年の6月から採用面接の解禁というものだ(2016年からの現行ルール適用は2020年入社の学生まで)。大学側の要望もあって3年間は学業に専念してもらいたいという建前だが、これが守られていないのは誰もが知っている。
大手食品メーカーの人事担当者が言う。
「毎年、大学を卒業する学生は50万人以上いますが、欲しいのは旧帝大や有名私大の優秀な学生などわずか数万人。これを奪い合うのが、新卒採用の本質なのです。当社も大学3年生にインターンシップで来てもらっていますが、優秀な順に“内々定”の声をかけています」
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