反日ドラマおなじみの台詞は「トヅゲキー」「バガヤロ」、近年は変化も? 爆笑「中国抗日ドラマ」対談
「中国抗日ドラマ」は爆笑コメディ――西谷格×岩田宇伯(3/3)
実際に出演した経験もあるライターの西谷格氏と、『中国抗日ドラマ読本』の著者である岩田宇伯(たかのり)氏が、爆笑コメディの域にある「抗日電視劇」について語り合う。反日作の金字塔「抗日奇侠」では、日本軍の登場人物に美人少佐が登場するなど、史実を無視した描かれ方もその“魅力”のようだ。そして2人が占う中国抗日ドラマの“これから”。
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岩田 時代考証におかしな点とかありませんでした?
西谷 間違った点だらけでした、それはもう。私が演じたのは日本人歩兵の役で、防弾チョッキにアメカジ風のデザートブーツ、プラスチック製の膝当てや肘当て……ですから、どう考えても違和感ばかりで。背中には日本刀を背負っていて、忍者ハットリくんみたいでしたね。
岩田 まさに抗日ドラマの神髄。雰囲気だけ兵隊っぽければいいと。
西谷 怪しいと思って衣装係に「本当にこんな格好をしていたんですか?」と聞いたら、自信満々に「ああ、そうだよ」と言っていました。ロケ現場では、運動会の万国旗のように大量の日の丸がそこらじゅうにはためいていたり、日本兵の使う銃の先端にまで日の丸がくくりつけられていました。後で日本の専門家に念のため確認したら「そんな使い方をするわけがない」と言っていました。中国兵が日本兵を撃ち殺すシーンも撮影していましたが、「もっと激しく倒れて」と何度も撮り直しをしていて。
岩田 そういうのが受けるのは各国共通なんでしょう。
西谷 ああここまで過剰にやるのかと。撮影とはいえ、閉口した記憶があります。
岩田 ほかにはどんなシーンを撮影したんですか?
西谷 日本軍が中国側に対して総攻撃を仕掛ける場面で、ちょび髭を生やした将校が「トヅゲギー!」と叫んで銃剣を振り上げていました。私はその後ろで銃を構えて立っていたんです。
岩田 「トヅゲギー」は抗日ドラマで日本兵が放つ奇妙な日本語として定番です。
西谷 ほかには馬鹿野郎が訛った「バガヤロ!」、飯が訛った「ミシミシ!」あたりは、反日ドラマで頻出する日本語ですよね。
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