明日にも東京を襲いかねない災害にどう備える?(石田純一)

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石田純一の「これだけ言わせて!」 第4回

 豪雨、台風、地震……。日本列島が災害続きなのは今に始まったことではないが、それにしてもこの夏は多発した。各地が猛烈な被害に見舞われるなか、いまのところ東京は静かだが、楽観してはいられない。仮に同じ規模の災害が東京を襲っていれば、とんでもない被害が発生していたのである。

 そこで問いたい。みなさん、地震や台風への備えはできていますか?

 地震の場合、阪神大震災を思い出してもらいたいが、家屋の倒壊に加えて火災が怖い。現在、東京都は木密地域不燃化10年プロジェクトに取り組んでいる。品川区、大田区、豊島区、世田谷区……ほか、23区内のほとんどに、道路や公園の整備が不十分なところに老朽化した木造建築が密集した地域が残っている。新幹線の車窓からも、どうやって建てたのか不思議なほど、隣家との間に隙間がない住宅街が眺められる。このままでは消防車さえ入れない。

 都は重点的に改善すべき場所を「不燃化特区」に定め、住宅を耐震化したり、道路を広く使えるように無電柱化したりと対策を講じている。だが、われわれ一人ひとりも危険性を意識して、多少お金がかかっても耐震補強や不燃化など、できることには取り組んでおいたほうがいい。

 次に台風の場合だが、河川の氾濫による浸水被害が心配だ。とりわけ江東区、墨田区、葛飾区、江戸川区の海抜ゼロメートル地帯とその周辺では、地区の90%以上が浸水し、250万人が逃げ出せなくなると見られている。実はIBMが開発したAIのワトソンも、こうした甚大な被害をすでに予測している。では、どうするか。官民が連携して対策するしかない。そうしなければ逃げられない。

 上記4区に足立区を加えた5区は、江東5区大規模水害広域避難計画を策定した。縦割りの行政が横で連携できたのは画期的だ。しかし、江東5区の隣りには千葉県松戸市や市川市があり、残念ながら、そちらとは連携できていない。千葉県への逃げ道も確保しておいたほうがいいに決まっているが、いざ災害が起きたときに許されない可能性がある。少なくとも災害時に向けては縦割り意識を捨て、広域での連携を考えてほしい。台風や地震は明日にでも発生するかもしれないのだから。

 それから、水害の際には首都高を使って避難することを提案したい。地上は陥没や冠水で身動きが取れなくなりうる。なにしろ、2階建ての住宅も水没してしまう危険性があるのだ。鉄砲水に襲われるかもしれない。東京の人たちが“棄民”にならないためにも、首都高を歩いて千葉や埼玉方面にも逃げて行けるようにする。自治体同士が連携して、ぜひそういう計画も立ててほしい。

 ちなみに、僕が家を建てる場所に代官山を選んだのは、まあまあ高台で津波は来ないだろう、浸水しないだろう、というのが理由だ。また、耐震補強にも奮発した。そして子供たちには、「離れてしまっても親のことを心配するな。親は絶対に生きているから、子供だけで生き延びて、できるだけうちに戻っていらっしゃい」と伝えている。

 上記のような取り組みを自治体には期待したいが、災害はいつ襲ってくるかわからない。まずは逃げることを優先して、各家庭で避難先などをしっかりチェックしておきたい。

石田純一(いしだ・じゅんいち)
1954年生まれ。東京都出身。ドラマ・バラエティを中心に幅広く活動中。妻でプロゴルファーの東尾理子さんとの間には、12年に誕生した理汰郎くんと2人の女児がいる。元プロ野球選手の東尾修さんは義父にあたる。

2018年9月22日掲載

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