〈詐欺とも言える行為〉〈目に余るハラスメント〉 文書が示す「速見佑斗コーチ」が抱えていた問題

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体操界のDVカップル「宮川紗江」選手を覚醒させるウルトラC(1/2)

 宮川紗江選手(19)と速見佑斗コーチ(34)。度重なる激しい暴力には寛大な措置を求める一方、暴力排除の動きをパワハラとして糾弾する彼らは「DVカップル」――。いま体操界にくすぶる声である。この不条理から、前途有望な若き選手を救う手立てはあるのか。

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 体操界を急襲したパワハラ騒動という暴風は、収まる気配を見せない。

 もっとも、速見佑斗コーチが会見を開き、謝罪するとともに、「暴力を行わないことを誓う」と宣言。彼と一緒に「再スタートを切りたい」と訴える宮川紗江選手に、高須クリニックの高須克弥院長が手を差し伸べるなど、新たな展開も見られる。だが、暴力の被害者が加害者との再スタートを望むのは異例で、それが実現すれば、もっと異例である。このまま2人は再スタートを切っていいのか。

 宮川選手自身は、8月29日の会見で、無期限の登録抹消という速見コーチの処分が「重すぎ」で「納得ができない」と述べた。その根拠は、平たく言えばこの処分を“陰謀”だと思っているから。そう言って差し支えあるまい。会見での彼女の発言を、いま一度確認しておきたい。

 いわく、「速見コーチの処分に至るまでの経緯で納得できない不自然な出来事がいくつも起こっていました。まず7月11日、協会の女子体操専任コーチより、7月15日から行われる代表合宿には速見コーチは参加できませんと電話で連絡を受けました」。そして合宿初日、塚原夫妻の待つ部屋に1人で呼ばれ、「暴力の話が出ている。認めないとあなたが厳しい状況になるのよ、と何度も言われ、速見コーチが除外されたあと、あなたが一番困りますよ、私はあなたの味方よ、と言われました」。そうした諸々を受けて、宮川選手はこう結論づけたのである。

「最初から速見コーチの過去の暴力を理由に、速見コーチを排除して朝日生命に入れる目的なんだと確信に変わりました。(中略)速見コーチと私を引き離すことを前提に多くの力が働いていたことは間違いなく、そこに強化本部長が大きく関わっていたことは間違いないと確信しています」

 だが、「確信」という、会見の時点で18歳だった少女の主観は、客観的裏づけに支えられていたのか。実はここまで、そのことを検証したメディアはほとんどない。一方、ここにはいくつかの「裏づけ」がある。

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