殺人的な炎天下での部活動、なぜ改善できない? “人命より規定”のインターハイ事情
「運を天に任せるしか」
教諭によれば、さらにこんな事情も。
「大学へのスポーツ推薦も、夏の大会の成績を見て決めるので、生徒の進路を考えるとやめられない。重症の熱中症患者が出るまで、いまのやり方は変わらないかもしれません」
別の教諭からは、こんな本音も漏れる。
「スポーツ庁から、暑すぎる日はスポーツをしないように、という通達が学校長宛てに頻繁に届きます。校長はそれを現場に伝えるので、ある意味、死人が出ても、役所と校長の責任は回避される。責任は現場が負うわけです。だから今回も男子サッカーで、“試合はやめよう”という意見が出ましたが、異論百出でまとまらない。だれかが“なにかあれば高体連が責任をとる”と言って話は終わりましたが、学校の先生の集まりにすぎない高体連に責任がとれるはずがない。インターハイは危険と背中合わせに、綱渡りで運営しているのが実態。会場でだれかが倒れたという情報がくると、 僕らもドキドキします。重症じゃありませんように、と。運を天に任せるしかありませんから」
少年少女たちの命が、天任せ、運任せになっているというのだ。帝京大学高度救命救急センターの三宅康史センター長が言う。
「少なくとも、その日の試合や練習をやらせるかどうかの判断を、学校の先生とか部活のコーチに丸投げするのは無理です。暑い中でどう安全に試合や練習を行うか、もっと科学的に考えるべきでしょう」
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