殺人的な炎天下での部活動、なぜ改善できない? “人命より規定”のインターハイ事情
今年の夏は蚊に刺されにくかった、と証言する人が多い。実際、蚊にとっても不快な暑さだったと見える。蚊が好む気温は27〜28度で、おまけに暑さで水たまりが干上がり、ボウフラが育ちにくかったようだ。
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しかし、かゆくなかったと喜んではいられない。猛暑の影響を受ける生物は蚊に留まらず、むろん人間も例外ではない。気象庁が緊急記者会見を開き、
「気温が高い状態は8月上旬にかけて続き、熱中症で命を落とす危険性もある」
と呼びかけたのは、7月23日のことだった。この日、埼玉県熊谷市で国内最高を更新する41・1度を観測したほか、東京都青梅市や岐阜県多治見市、山梨県甲府市でも40度を超えた。8月になっても各地で40度超を記録。もっとも、数字など示さずとも、読者諸兄が身をもって、酷暑を記憶されていることだろう。
ところが、「命を落とす危険性」までが取り沙汰されるなかで、少年少女たちはあたかも兵士のように、最前線で暑さと格闘し、ときに斃れていた。
たとえば7月19日、熊本市の九州ルーテル学院高校では、女子生徒4人が部活中に熱中症で倒れ、病院に緊急搬送されていた。大野雅人教頭によれば、
「バレー部とバドミントン部の女子生徒30人が、朝7時に集合して合同練習を始め、1時間ほどすると気温が30度を超えた。その中で4人1組のリレーを行い、1人200メートル走ると次の人にタッチしていったのですが、3周目に入ったところで1人が、4周目に入るとさらに3人が倒れ込んだのです。彼女たちはみな過呼吸の症状を起こし、手足の痺れを訴える子もいて、万一のことも考え、病院に対応をお願いしました」
幸い4人とも軽症だったそうだ。その後、
「私が“暑い時間の部活の練習はできるだけ控えるように”との指示を出してからは、倒れる生徒は出なくなりました。そして1学期の終業式と2学期の始業式は、生徒を1カ所に集めず、教室で放送を聞くかたちに変更しました」
そして、こう付け加えた。
「昨今の暑さは、根性でなんとかなる範囲を超えていると再認識しました」
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