「さくらももこさん」の命を奪った「乳がん」に打ち克つ知恵――4つのタイプ、その治療法

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女性のライフサイクルの変化

 彼女の命を奪った乳がんは、国内の女性が罹るがんの中で最も罹患率が高い。女性の11人に1人が生涯に罹るというだけあって著名人にも乳がん経験者は多く、昨年、フリーアナウンサーの小林麻央さんが闘病の末に亡くなったのは記憶に新しい。

「一般的に、女性ホルモンのエストロゲンにさらされる期間が長ければ長いほど、乳がん発症のリスクは高くなります。そのエストロゲンは、主に月経があるうちに分泌されるものですから、初潮から閉経までの期間によって、おおよその危険性が決まってくる」

 そう解説するのは、新宿ブレストセンタークサマクリニックの日馬幹弘院長。

「昔は栄養状態が良くなかったせいもあり、中学生くらいに初潮が来て、結婚して子供を作り、閉経を迎えるのも早かった。現在は栄養状態が良いので、初潮は早く、閉経は50代にまで延びています。また、女性の社会進出が当たり前になったことで、晩婚化・少子化が進んでいる。そうしたライフサイクルの変化もあってエストロゲンにさらされる期間が増え、乳がんに罹る可能性が高まったのではないかと考えています」

 乳がん治療に詳しいベルーガクリニックの富永祐司院長が補足する。

「出産経験のある女性は、ない女性に比べて乳がんになりにくい。妊娠すると生理が一時的に止まり、エストロゲンの分泌が減少するためです」

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