男子のビール売りは絶滅危惧種(中川淳一郎)
星野ルネというタレントがツイッターで配信する「まんが アフリカ少年が日本で育った結果」が、毎度多数のRT(引用)をされ、単行本と電子書籍版も発売されました。彼は日本人の父とカメルーン人の母の間に生まれ、基本的には日本で育ってきたものの、アフリカ人に見えるため、幼い頃から様々な困惑を経験しています。それは日本国内でも、カメルーンに行っても同じです。とはいっても作品は前向きなものやウィットに富んだものが多く、「共生」や「多様性」を考える材料となります。
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現在34歳の星野ですが、高校時代に飲食店のレジ打ちのバイトの面接に行ったところ、「ルネ君がレジに出たらお客さんがびっくりすると思うんや……。うちで外国人を雇った事ないから今回は残念やけど…でも君、ええ子やから諦めんと他探してみて!」と言われたというエピソードが紹介されました。しかし、現在では地元の同系列の飲食店のレジには外国人風の店員がいることを作品の最後のコマに持ってきています。「お客さんはびっくりせず買い物をしていた」としたうえで「少しずつだが社会は変わっていく/小さな一歩かもしれないが日本の未来への偉大な一歩だと思う」と締めました。
東京でも1990年代前半まで、コンビニの店員で外国人を見ることはあまりなく、後半に入ると中国人や韓国人の留学生をよく見るようになりました。今では両国出身は当たり前で、東南アジア系の店員もよく見る。一度とんでもない美人のロシア人風白人女性店員を見たことがあります。
他にも、店員が全員スリランカ人のホルモン焼き屋やら、全員スリランカかネパールかバングラデシュ出身という牛丼チェーンの店がありました。最初は驚くかもしれませんが、中東系の人がドネルケバブの店で働いていることに驚くことはありませんし、フィッシュ・アンド・チップスの専門店の料理人がイギリス人だと「おっ、より本格的なのか」なんて思うもの。
最初はあまりにもギャップがあったスリランカ人店員だらけのホルモン焼き屋については2回目の来訪以降「そういう店」ということで客は特に気にせず、時々食べられるスリランカカレーが楽しみになったりしています。
以前、あまりに美人なタクシー運転手に仰天したことを書きましたが、様々なことは変わっていくものです。野球場のビールの売り子にしても、昔は男女両方いたのに「巨大キャバクラ」的な使われ方をするようになった結果、女性の売り子が圧倒的に多くなっています。
アイドルグループ内での「推しメン」のごとく、気にいった女性売り子の歩合制による収入を上げるべく、その売り子からビールを何杯も買い続けるオッサン達。ビールを注ぐタイミングで会話を交わすことが至福の時間なわけですね。「あいつらに勝てるわけねーよ」とばかりに男性売り子が減って、今や球場のビールの売り子は美女だらけになっております。芸能界デビューした「おのののか」のような存在まで登場しました。
星野が書いているように、世の中は変わるもの。だからこそ「前例がない」などと難癖をつけることのない柔軟な人間でいたいものです。