「ドン叩き」がウケるワイドショーの“集団リンチ”事情 制作費抑え尺稼ぎ

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 3月はレスリングの栄、5月は日大アメフトの内田、7月はボクシングの山根……。

 図ったように、2カ月置きにヒールが登場する今年のスポーツ界。これに笑いが止まらないのがワイドショーの制作スタッフである。

「スポーツ界の不祥事の会見。これが今、我々の最もおいしいネタなんです」

 とは、さるキー局のプロデューサー氏だ。

「会見は長尺の映像がタダで手に入りますから、これで時間を稼ぎ、残りはコメンテーターに喋らせる。これで制作費を抑え、しかも簡単に番組が出来るんです。それに芸能ネタと違って、スポーツ団体の場合は、『事務所』に忖度をする必要がありませんからね」

 塚原夫妻は、この方程式の「9月用」のネタになってしまったというワケだ。

 しかし、彼らテレビは過去、「暴力」「体罰」問題を断罪してきたはず。が、今回は「暴力コーチ」は追わず、連日、「パワハラだ!」と集団リンチのように責め立てるのは、塚原夫妻についてのみ。そっちの方がよっぽどハラスメントだと思うが、

「いくら暴力はダメ、と言ったって、彼らは所詮、視聴率が第一なんです」

 とは、スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏だ。

「無名の速見コーチを叩いたところで、面白みがないでしょう。叩く価値があるのはやはり知名度のある人間。だからこそ、塚原千恵子がターゲットにされた」

 結局、綺麗事のウラにある本音はビジネス。

「体操界交戦」の汚い勝利者、その名はテレビである。

週刊新潮 2018年9月13日号掲載

特集「ひねりすぎでG難度という『体操界』の交戦規定」より

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