宮川選手を引き抜く気はなかった――「塚原千恵子」が告白する“体操パワハラ問題”全真相
女帝「塚原千恵子」が懺悔の「全真相告白」5時間(2/2)
暴力問題を露見させ、宮川紗江選手(18)を速見佑斗コーチ(34)から引き離し、自分のクラブに引き抜こうとした――パワハラ騒動をめぐっては、日本体操協会の塚原千恵子女子体操強化本部長(71)は、体操界を支配する“女帝”としてワイドショーなどで報じられる。だが、彼女の5時間に亘る告白から見えてくる“真実”はこれとは異なる。前回、塚原氏は、速見コーチは宮川選手が所属するクラブとの間でトラブルを起こし、それが原因で2020東京五輪特別強化選手特別強化対策の合宿に参加できなかった、と説明した。
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さて、7月15日の合宿初日に戻りましょう。宮川選手は「なぜ速見コーチは来られないのですか」と聞いてきました。そして、「私はチーム宮川でやるから帰ります」と言うのです。彼女は、私が速見コーチを外したのだと誤解していたんですね。しかし、いま思えば宮川選手は不安だったのでしょう。そんな彼女への配慮が足りず、威圧的ともとれる言い方をしてしまった点は、申しわけない気持ちでいっぱいです。
私は彼女に、速見コーチはもうそのクラブに所属していないから、ここには来られなかったこと、現在暴力問題で調査されていることを伝えました。そのうえで「あなた、殴られたの?」と尋ねると、彼女は黙ったままでした。そこで目撃者がいると伝えると、暴力があったこと自体は認めましたが、「私はそれは暴力とは思いません。指導の一環です」と主張したのです。
それを聞いた主人の光男が「いくらあなたが平気だからといっても、暴力はいけないことなんだよ」と言いました。続いて私が「おかあさんやおとうさんは暴力を知っているの?」と尋ねると、容認しているといいます。そこで私はつい「宗教みたいね」と言ってしまったのです。この表現は軽率で、明らかに適切ではありませんでした。
「このままではオリンピックに行けなくなる」という発言も、たしかにこの日にしました。しかし、宮川選手は6月の種目別選手権で、得意のゆかと跳馬が7位でした。東京五輪で選ばれるのがチームで4人、個人で2人で、しかも個人2人はW杯に出場して個人資格を取らなければならない、というふうにシステムも変わっている。「塚原が強引に宮川選手を外そうとしている」と受けとる向きが多いようですが、そうではなく、このままの成績ではチャンスが失われかねないので、それを伝えたのです。
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