反トランプの「ナイキ」広告、不買運動が起きても実は大成功のウラ事情

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163億円の宣伝効果

 先の関氏が続ける。

「キャンペーンの存在がメディアに取り上げられたことによる広告宣伝効果は、43ミリオンドル(43億円)にも上るとの試算があります。しかもこれは発表から24時間の額で、4日間で163.5ミリオンドル(163億5千万円)といわれています」

 発表直後こそガクンと下がった株価も、徐々に上昇傾向にある。そもそもの現在のナイキの想定客層は、“2000年前後に生まれた若者たち。アフリカ系、都会のリベラル”あるいは“裕福層に届かない高所得層”。昨年も黒人アスリートばかりが登場するCMをグラミー賞向けの特別放送に採用したくらいだから、尖った広告を展開することは、ある程度はおり込み済みのようだ。

「広告が発表された9月3日の月曜は“労働者の日”でした。土日を含む3連休だったわけですが、オンラインショップの売り上げは31%も上昇しました。昨年の同じ連休と比べても14%増です。最近は、この数字を伝える報道が目立ちますね。興味深いのが、ナイキの年間収益のうち60%が、アメリカとカナダ、メキシコを除く北米以外の国からの売り上げによるというマーケティング会社の調査です。同時に、北米以外の人たちは“アメリカが自国の人種問題に取り組んでいない”という意識が強いそう。つまりオンラインで売り上げが上がったということは、北米以外の人たちから共感を得ているという証拠なのかもしれません」

 だが、“北米以外”の身からすれば、ファッションと政治を結びつけるこうした動きは、少し肩が凝りそうではある。

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