反トランプの「ナイキ」広告、不買運動が起きても実は大成功のウラ事情
ナイキコールセンターの悲惨
「実際に、ナイキの好感度にマイナスの影響が出たという調査結果もあります」
と解説するのは、北米在住ライターの関陽子氏である。
「『モーニング・コンサルト』が8千人の成人のアメリカ国民を対象に行った調査があります。8千人のうち、1694人は広告キャンペーンが発表される前、残りは発表後の9月4~5日に回答。結果は、マイナス100~プラス100段階で「プラス69」だった好感度のポイントは「プラス35」にダウン。『今後、ナイキの製品を買うかどうか?』という問いに対するイエスの割合も、49%から39%に低下したのです」
察するに余りあるナイキ社のコールセンターの苦労を伝えたのは、かの「ローリング・ストーン」誌だ。
「センターで働く人々へのインタビュー記事が掲載されており、今回の広告は“働く身としては誇りに感じるが、同時にこれまでにないほどのハラスメントの電話があった”そう。具体的には、キャパニック選手をテロリスト呼ばわりするものや、電話を取った社員が訛りで黒色人種だと分かると“ブラックは信用できないから他に代われ”と告げられた、などなど……。共和党を支持する“ママ友の集まり”から、『子どもたちが使っていたナイキの服やグッズを集めて、全部チャリティーに寄付した。今後は他のブランド製品を使う』という電話もあったそうです。今後はナイキ製品を買わないという意味ですが、それを聞いた社員は“すごくいいことですね!”と返したそうですよ」
SNSでは「BoycottNike(ナイキをボイコットせよ)」や「Never Nike(ナイキに明日はない)」とのハッシュタグも登場し、同社の靴を燃やす動画や、靴下からロゴを切り取った写真などが投稿された。
好感度は下がり、そしてクレームも殺到、というわけである。とはいえ、こうした動きとは裏腹に、ナイキは大儲けしていたというのだ。
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