反トランプの「ナイキ」広告、不買運動が起きても実は大成功のウラ事情
ドナルド・トランプ大統領をチクリと刺すメッセージが、そのロゴよろしくブーメランに……とは、ならなかった。物議を醸す広告で、当初は株価の下落も報じられたナイキだったが、結果的には大成功だったようだ。
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そもそもの発端は米プロフットボールリーグ(NFL)のフォーティナイナーズに所属していたコリン・キャパニック選手(30)が、試合前の国歌斉唱時に膝をつく抗議を行った2016年8月にさかのぼる。“黒人や有色人種を虐げる国には敬意を払えない”というのがその理由だが、これが賛否を招いた結果、シーズン終了でキャパニックはチームを去ることに。以降、現在に至るまで所属するチームなき“浪人”の身となっている。
オバマ大統領だった当時ですら、チームにいられなくなるほどの物議を醸したキャパニックの行動である。現在のトランプ政権であれば、なおのこと。保守派からすればいわくつきの男を起用したのが、ナイキのブランドスローガン“JUST DO IT” 30周年記念キャンペーン広告だった。
〈信念を持とう。たとえすべてを失っても〉
キャパニックのモノクロ写真と共に、こんなコピーが踊るこの広告が、国歌斉唱拒否の一件を踏まえたものであることは明らか。これが9月3日に発表されるや否やナイキ不買運動が沸き起こり、翌日のナイキの株価は一時4%近く下落した。
そしてSNS大好きトランプ大統領からも、
〈ナイキの人気は下降しており、激しい怒りと不買運動で殺される。こうなることを予想していなかったのか?NFLに関していえば、国旗に起立しない限り私は見る気がしないし、これからもそうだ〉
〈ナイキは何を考えていたんだ?〉
などとTwitter上で批判される事態となった。
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