Nスペ「実録ドラマ 警察庁長官狙撃事件」スタッフが熟読した“一冊の文庫”
ドラマとノンフィクションの“関係”
すべてはこの一冊から始まった。『警察庁長官を撃った男』(新潮文庫)。このほど「NHKスペシャル 未解決事件」の題材として大々的に取り上げられた「警察庁長官狙撃事件」の内幕を、あますことなく描いたノンフィクションである。
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NHKのスタッフらが熟読し、いつかドキュメンタリー番組として完成させ、闇に埋もれた真実を世に問いたいとの使命を燃やす、そのキッカケとなった作品だ。彼らの執念と奮励努力がついに結実し、9月8日の午後9時から「NHKスペシャル 未解決事件 File07」(NHK総合)として「警察庁長官狙撃事件 容疑者Nと刑事の15年」の実録ドラマが放映された。
ご覧になった方なら、刑事役の國村隼(62)と重要参考人・受刑囚役であるイッセー尾形(66)の2人が火花を散らした、舞台劇を思わせるような対決シーンに息を呑んだに違いない。警視総監役を小日向文世(64)が憎々しく演じたのも圧巻だった。
さっそくTwitterでも配役が話題になっている。いくつかご紹介しよう。
《変な若者ウケを狙わない、実力最優先で選んだ配役は100点満点じゃなかろうか》
《配役も贅沢でした。國村隼さんとイッセー尾形さんのがっぷり四つ。小日向文世さんはブラック上司》
《何が本当で、何が嘘なのか。見ている内に、こちらも揺ぐような90分。ラストの國村隼さんの、なんとも言えない、あの表情》
9月2日に放送されたドキュメンタリーパートも、関東地方では8日午後4時10分から再放送が行われた。こうして土曜の夕方から夜にかけて、ドキュメンタリーとドラマの2番組を一気に視聴された方もおられただろう。
このうちドキュメンタリーパートでは「取材協力」として、「鹿島圭介」の名前がクレジットされている。『警察庁長官を撃った男』(新潮文庫)の著者だ。ドラマでは國村隼とイッセー尾形が対決したように、鹿島も2003年11月、名古屋拘置所で中村泰(ひろし)受刑囚(88)と面会を果たしている。それ以降、数えきれないほどの面会と手紙のやり取りを続けてきたのである。
この中村受刑囚とは、どのような人間なのか、近年の犯歴をコンパクトにまとめた産経新聞「警察庁長官銃撃を供述 77歳男『秘密の暴露』」(08年3月20日)から引用させていただこう。
《中村被告は13年10月に大阪市で発生した現金輸送車襲撃事件などで強盗殺人未遂や銃刀法違反の罪で起訴され、昨年(編集部註:07年)3月に大阪地裁で無期懲役の判決を受け、最高裁に上告している。(中略)14年11月に名古屋市で発生した現金輸送車襲撃事件で現行犯逮捕され、この事件では懲役15年の実刑判決が確定している。名古屋の事件で逮捕後、警視庁などが捜査を進めた結果、中村被告が大阪の事件を引き起こしていたほか、西新宿の貸金庫などに大量の拳銃や実弾を隠し持っていた》
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