北海道地震で牛乳の生産がストップ 牛乳やバターが店頭から消える可能性は?
乳牛の健康にも悪影響
その停電だが、計画停電の可能性も取り沙汰されている。読売新聞は9月7日(電子版)に「北海道全世帯停電、7日朝までに3分の1供給へ」と報じたが、朝日新聞は同じ日、「北海道で計画停電を検討 10日開始も、1回2時間ほど」と伝えている。
つまり楽観はできないというわけだ。業界関係者が指摘する。
「飲料用の牛乳は、地産地消が基本です。北海道の生産体制が深刻なダメージを受けたとしても、全国のスーパーやコンビニから牛乳が消え去る可能性は低いでしょう。ただ、夏休みが終わり、9月から学校給食が再開されたというタイミングの悪さは、懸念材料です。牛乳の需要が伸びる時期なので、北海道地震の悪影響で品不足の傾向が強くなると、価格の上昇を招く可能性は否定できません。もっと心配なのは、チーズとバターです。国産のナチュラルチーズとバターの大半は、北海道産ですからね」
JAグループのホクレン農業協同組合連合会(札幌市中央区)の広報担当も「道内で消費される以外の生乳は、大半がバターやチーズなどに加工され、全国に出荷されています」と説明する。
「心配なのが、牛の健康状態です。牛の種類や飼育方法によって差異はありますが、基本的には毎日、搾乳をしなければ、牛の健康は悪化してしまいます。私どもも現場の状況を把握しようと努めておりますが、電話がつながらないところも決して少なくありません」
だが電力の復旧に関する情報は二転三転している。世耕弘成経済産業相(55)は6日朝、記者団の取材に応じ、北海道の地震による大規模停電について「数時間以内で電力供給のめどを立てるよう、北海道電力に指示した」と述べている。
ところが同じ日の昼になると、「北海道全域が完全に復旧するまでには少なくとも1週間以上かかる見通しだ」との見解を述べた。それが7日夜には「8日中には北海道全域で停電が解消する見通しが立った」と前言を翻す……。
牛乳が品薄になることだけでなく、乳牛に健康被害が出てしまうことも心配だという人も少なくないだろう。1日のレベルではなく、それこそ1時間でも早い電力の完全復旧が望まれる。
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