EV風雲児「イーロン・マスク」にココロの乱気流

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〈テスラを非上場化することを考えている。1株420ドルで、資金繰りはついた〉

 8月7日、イーロン・マスク氏がツイッターに書いた一言が、大騒ぎになっている。

“つぶやき”を問題視した米SECが、テスラに召喚状を出すと同社の株価は暴落。さらにマスク氏は、NYタイムズのインタビュー(8月16日)で〈私のキャリアの中で最も困難で苦しい1年だった〉と告白し、途中で泣き笑いを繰り返すなど、明らかにおかしな様子だったのだ。

 資産2兆3千億円の超リッチマンにして、スペースXなど宇宙開発ベンチャー企業も経営するスター経営者に何があったのか。在米ジャーナリストが解説する。

「テスラの経営がピンチに陥っているのです。EV(電気自動車)メーカーとして脚光を浴びた同社は、一時、時価総額でフォードを上回ったほどでしたが、昨年からスタートした『モデル3』の生産がうまく立ち上がらず、今四半期も800億円の赤字に陥っている。現地メディアによると、半年で2千億円近い現金が流出しており、手元に残っているのは、2400億円。1兆2650億円超の債務があるテスラは、一刻も早く資金繰りの目途をつける必要があるのです」

 一時は、サウジの政府系ファンドが救いの手を差し伸べるとか、スペースX社が資金を融通するという話も出たが、現状では何も決まっていない。それどころか、“化けの皮が剥がれた”という指摘もある。

 自動車評論家の国沢光宏氏によると、

「テスラはディーラーがいないからメンテナンスができないし、日本法人に電話しても日本語の怪しい人が出てくるだけ。さらには、購入を希望する客から予約金を取るなど、自動車メーカーとしてデタラメなことばかりやってきたのです」

 先のNYタイムズによると、マスク氏は役員会のメンバーから導眠剤の多用も懸念されている。膨み続ける損失に、眠れない日々が続いているのだろう。

週刊新潮 2018年8月30日号掲載

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