北朝鮮が突然、拘束“日本人男性”を追放―「身代金支払い」でスピード解決!?
国会でも身代金の証言
身代金の存在は、既に国会で明らかになっている。元日経新聞記者の杉嶋岑氏は1999年から02年にかけて北朝鮮に拘束された。内閣情報調査室と公安調査庁の“スパイ”だったことを、当局は完全に把握していたからだ。
2年2か月の拘束後、杉嶋氏は突然の帰国を果たす。同年7月に衆議院の安全保障委員会に参考人として出席し、身代金の支払いについて外務省の担当者と会話したことを証言した。まだ支払われていないが、密約として「2000万円くらい」で合意した経緯が速記録に残されている。
また2003年には、当時29歳の日本人女性が北朝鮮に亡命を申請。最終的には拒否され、05年11月に帰国。この時にも平壌放送が「人道主義の見地から送還措置を取った」と報じたが、実際は数百万単位の身代金が支払われたとされている。
身代金といっても、そのものズバリを要求してくるわけではない。滞在費や保釈金など、一応はもっともらしい口実があるのだという。
現在、日朝首脳会談の実現を目指し、両国間では交渉が行われている。拉致問題などでは2国間の主張が対立しているようだ。こんな時に“人質”として交渉のカードに使われれば、日本政府が対応に苦慮したことは想像に難くない。
そもそも「北朝鮮に入国したことが軽率だった」と言われても仕方あるまい。とにかく、早期帰国が実現したことは良かった。
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