北朝鮮が突然、拘束“日本人男性”を追放―「身代金支払い」でスピード解決!?
北朝鮮の観光が世界的ブーム!?
杉本氏が利用したのは、イギリス人が中国で経営する「ヤング・パイオニア・ツアーズ」という旅行社だったとの情報がある。これが事実だとすれば、2016年1月に拘束されたアメリカの大学生、故・オットー・ワームビア氏と同じ旅行社だ。
ワームビア氏は観光で北朝鮮を訪れたが、「敵対行為」があったとして拘束。17年に昏睡状態のまま帰国して死亡するという痛ましい事件が起きる。冒頭に引用した一文は、この「ヤング社」が公式サイトに掲載したとされるものだ。
「ワームビア氏の事件で、ヤング社は問題のある旅行社だと明らかになっています。例えばツアー客に対して、北朝鮮の入国時に重要な注意事項をほとんど説明しないとのことです。北朝鮮では写真の撮影に注意するとか、『金正恩』などと指導者を呼び捨てにしないとか、様々なローカルルールがあります。これらを充分に説明しなかったため、ワームビア氏が拘束されたという指摘が根強いのです」
そんな危険な旅行社に何故、杉本氏がツアーを申し込んだのか、宮川氏は「査証(ビザ)の問題が大きいと思います」と指摘する。
「日本政府は渡航自粛を呼びかけていますが、日本国内にも北朝鮮の観光ツアーを実施している旅行社はあります。しかし日本人が日本の旅行会社を使うよりは、中国など国外の旅行会社を使うほうが、北朝鮮への査証が下りやすい傾向があるのです。杉本氏は、その職業柄、それを知っていた可能性はあると思います」
今となっては査証が下りないほうがよかったわけだが、一部では北朝鮮への観光がブームになっているという。コリア・レポート編集長の辺真一氏が解説する。
「中国、シンガポール、マレーシア、そして台湾などでは、北朝鮮のツアーが注目されています。理由は簡単で、“秘境”だからです。簡単に訪れることができないからこそ、強い好奇心が生まれる。実際に観光して帰国できれば、お土産話や写真などの価値は高まります。欧米や日本のYouTuberが北朝鮮を訪れて動画を撮影するのも、再生回数が見込めるからでしょう。収入の増加を狙っているわけです」
[2/4ページ]