北朝鮮が突然、拘束“日本人男性”を追放―「身代金支払い」でスピード解決!?
39歳の男性は無事に帰国
「お母さんが、あなたに近寄ってほしくないと望むような土地」――これは北朝鮮のことを指しているという。さる旅行社が公式サイトに記述したものだ。
北朝鮮に拘束されていた杉本倫孝(すぎもと・ともゆき)氏が釈放され、中国を経由して無事に帰国した。約2週間で解放という“スピード解決”。とはいえ、近寄るべき国でなかったのは明らかだろう。
日本のメディアが「北朝鮮で日本人男性が拘束」と報じたのは8月11日。それから男性が滋賀県出身であることや、39歳の映像クリエイターであること、軍港の側面も持つ北朝鮮西部の南浦(ナムポ)で拘束されたこと――などが次々と明らかになった。
長期の拘束となり、北朝鮮の対日交渉で“外交カード”として悪用されることが懸念されていた。しかし8月26日、状況は一転した。朝鮮中央通信(日本語電子版)が「朝鮮が日本人を追放」と唐突に報じたのだ。全文を引用しよう。
《【平壌8月26日発朝鮮中央通信】朝鮮中央通信社が25日、次のような報道を発表した。
最近、日本人観光客としてわが国を訪問した杉本倫孝が朝鮮の法を違反する犯罪を働いたことで、当該機関に取り締まられて調査を受けた。
朝鮮の当該機関では日本人観光客を人道主義の原則に従って寛大に許してやり、朝鮮の境外へ追放することにした》
かの国の“品位”が行間から滲み出ているが、北朝鮮は何の目的で拘束し、突然に釈放を決めたのか。北朝鮮の書籍やグッズなどの通販を手掛ける「レインボー通商」代表の宮川淳氏は、南浦という場所と、ツアーを実施した旅行社に注目する。
「南浦は観光地であるのも事実ですが、軍事関連施設もあります。私も訪れましたが、今なら高速道路で平壌から1時間半前後でしょう。警戒は厳重でした。バスに乗って移動して南浦市に入り、まもなく目的地に到着する手前で停車。1時間ほど待たされたことがあります。その間、ガイドは観光客を目的地まで連れて行っていいか、当局と確認、交渉をしていました。他にも現地には、撮影禁止と言われたところがありました。撮影は慎重に行なうのが無難な場所でしょう。杉本氏が撮影を行ない、そのために北朝鮮当局がスパイ容疑で拘束したという一部報道もあります。その真偽は不明ですが、決してあり得ない話ではないと思います」
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