心臓病、動脈硬化、アルツハイマーも“衝撃波”“超音波”で治療 東北大教授が解説

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膠原病やリンパ浮腫にも

 それだけではない。

“衝撃波”は心臓病以外の治療にも効果を発揮することが分かってきている。

「閉塞性動脈硬化症は足の血管が動脈硬化を起こして歩けなくなってしまいますが、衝撃波治療を行うと血流が回復して病状が改善します。また、膠原病では、とりわけ冬に激痛を伴う潰瘍が指にできることがあります。それも、低出力衝撃波治療で改善できる。さらに、基礎研究の段階ではありますが、リンパ浮腫などにも有効性を示すデータが得られています」

 例えば、乳がん患者が乳房切除の際にリンパ節も一緒に取ると、リンパの流れが滞り、腕が腫れ上がるリンパ浮腫を起こすことがある。

「これまではリンパ管を新生させることはできず、リンパ浮腫の有効な治療法はありませんでした。ところが、マウスの尻尾のリンパ管を切除し、人工的にリンパ浮腫にして衝撃波を照射すると、リンパ管の増加と浮腫の改善が認められたのです。さらに、驚くべきことに衝撃波は神経の再生も促進することが分かりました。脊髄を損傷させ、後ろ足を引きずっていたマウスが、衝撃波による末梢神経の再生で、歩行障害が改善しました。このように、私たちの体には、適切な刺激が与えられれば自己修復する能力が潜んでいるのです」

“低出力体外衝撃波治療”は、様々な病に対し、革新的な治療法になる可能性がある。

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