Nスペ「祖父が見た戦場」のここがおかしい! 受信料は小野文恵アナと母のため?

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戦争特集でやるべきネタだったのか?

 では、こうした作り方はどれだけ視聴者に説得力を持ったのだろうか。
 SNSには、「小野アナの『ファミリーヒストリー』と言えばいいのに……」という投稿がある。やはり戦争特集としての普遍性を感じることはなかったのだろう。

 さらに言えば、「小野母子と遺族たちの現地調査に同行」した体裁で、実際は小野母子しか出てこない構成は、反発すら買っていた。
 最期が明らかにならなかった兵士20万人の遺族は、日本中にたくさんいる。その中で小野母子の想いだけを、多くのコストをかけて実現させたように見えるからだ。

「受信料がNHKの職員および家族のために使われた」と感じている視聴者は、少なくなかったはずである。

 事実を切り取るドキュメンタリーとしては、雰囲気作りに汲々とする今回の番組は失敗だった。結果的に視聴者に「絶対ヘン!」と思われてしまうのは、最初に小野母子をメインに据えた番組制作者たちの判断ミスと言わざるを得ない。

 NHKスペシャルでは、過去にはロケと編集もした結果、ボツになった番組があったと聞く。水準に達してない場合には、ブランドを守るため撤退する勇気を重視していたからだ。

 改めて「ファミリーヒストリー」で放送する手もあった。いずれにしても、戦争を描くドキュメンタリーで、送り手の都合が露見するような番組の放送は控えて欲しかった。

 残念というほかない。

メディア遊民(めでぃあゆうみん)
メディアアナリスト。テレビ局で長年番組制作や経営戦略などに携わった後、独立して“テレビ×デジタル”の分野でコンサルティングなどを行っている。群れるのを嫌い、座右の銘は「Independent」。番組愛は人一倍強いが、既得権益にしがみつく姿勢は嫌い。

週刊新潮WEB取材班

2018年8月23日掲載

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