アテネでは死を意識… 野口みずき語る「東京五輪」マラソン酷暑対策

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脱水症状を前提に走る

 いわゆる“冷えピタシート”も、

「太い血管が皮膚の浅い所を通っている首筋や腋の下、足の付け根に張り付けると有効です。日本の技術力を総結集して、優れた冷却シートを開発してほしいですね。商品化されれば、一般ランナーも喜ぶでしょう」

 メッシュの帽子や首筋の日よけもおすすめだ。

「13年の世界陸上では、早めに帽子を取った私は暑さに負けて途中棄権、30キロ過ぎまで被っていた福士加代子さんは3位入賞でした。直射日光は思った以上に体力を奪うと痛感しましたね」

 熱中症予防にはとにかく給水。マラソンにも何カ所か給水ポイントがあるが、

「たっぷり飲みたくても、レースなので、1回に飲めるのはせいぜい100ミリリットルくらい。つまりレースを通じて摂れるのは最大1リットルほどで、かく汗を到底カバーできません。夏のマラソンは、脱水症状を前提にして走る必要がある。つまりは暑さに耐えうる体づくりが重要になってくるのです。私は現役時代、毎日4300キロカロリーを摂取していました。食事をしっかり摂り、熱中症に罹りにくい強靭な体力を作ることが重要です」

 酷暑を乗り切る金メダリストの金言――ランナーならずとも傾聴の価値あり。

週刊新潮 2018年8月16・23日号掲載

ワイド特集「真夏の夜の夢」より

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