売上げ1兆円「ドンキホーテ」が狙う「西友」不動産

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5年で165店増

 西友の買収にはドンキHDのほかにも、イオンや国内外のファンドの名が挙がっている。

「西友の魅力は、なんといっても不動産でしょう」

 こう語るのは、全国紙の経済部デスクだ。

「ドンキHDの大原社長が“今では手に入らない立地の店舗が多数ある”と語っていた通り、西友の店舗335のうち50以上は自前で、しかも優良物件が少なくない。例えば、三軒茶屋店。地上5階、地下2階の大箱で駅からも近く、ドンキにとっては喉から手が出るほど欲しい物件だと思います」

 買う側にとって西友は“宝の山”ともいえそうだが、中堅スーパーの幹部は、

「隠れた“負債”があるので、西友の買収に積極的な同業者は少ないと思います。西友が仕入れや在庫、労務管理などで使っていたシステムはウォルマート仕様。買収後、そのシステムはほとんど使えなくなり、億単位の“特別損失”が発生する恐れがあるのです」

 また、買収後に店舗の統廃合を行えば地主などへの違約金の支払いが、社員をリストラすれば巨額の退職金の支払いが必要となる可能性も少なくない。

 それでもドンキは買収に動くのか。流通・小売り業界に詳しいアナリストは、

「やはり、ドンキが最有力だと思います。07年に長崎屋を買収し、昨年はユニー・ファミリーマートと資本提携し、相手の店をドンキに“変身”させて成功を収めている。西友の買収が成功すれば、多くの店がドンキになるでしょう」

 ドンキの出店攻勢は驚異的だ。13年に255店だったから、この5年で165店増加した計算になる。

「西友の売却額は3000億~5000億円と報じられています。ドンキは、交渉の席で買収後のコストを取引材料に出して買い叩くはずです」(同)

 交渉上手で知られるドンキ。西友を“驚安”の金額で買収する日が来るかもしれない。

週刊新潮 2018年8月30日号掲載

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