年1回の注射で「高血圧」治療! 服薬の煩わしさから解放する「新型ワクチン」が治験中

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1年以上の服薬継続者は半分ほど…

 よく、高血圧で悩む患者さんから、「一生、薬を飲み続けなければいけない」とこぼされます。

 でも実際には、1年以上、毎日きちんと薬を飲み続けられる人の割合は、半分ほどしかありません。それが4年間だと30%に下がってしまう。なかなか続けられないんです。

 ちゃんと飲めている人とそうでない人を比べると、当然、継続できない人は血圧の数値も悪いし、脳卒中や心筋梗塞も多いことが分かっています。朝方に薬の効果が切れて急激に血圧が上がってしまう、いわゆるモーニングサージによる脳卒中の危険性がより高いのです。

 薬を飲み続けられないという課題を解決しようと思えば、やはり長期的に効く薬がいいに決まっています。しかし、薬には持続性に限界がある。その点を、私たち研究グループは“体のなかで抗体を作ることができれば、薬の効果を維持させられるのではないか”と考えました。

 そして抗体を作るとなるとワクチンを、ということになったのです。

 詳しくは後述しますが、端的に言うと、血圧を上げるのは、血液のなかにあるアンジオテンシンIIというホルモン物質。これが活性化すると血管が収縮します。その働きをワクチンで抑えることで、血圧を下げようというわけです。

 私たちは数年前から、この実験をラットやサルといった動物で進めてきました。

 そして今年4月12日から、オーストラリアのアデレードにある病院でヒトのデータを取りはじめたのです。

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