公立中学? 中高一貫校? 大学付属? わが子を進学させるべきはどっち?
公立中学? 中高一貫校? 大学付属? わが子を進学させるべきはどっち?――おおたとしまさ(2/3)
我が子が中学受験する場合、「私立中高一貫校」「国立中高一貫校」「大学付属校」「公立中高一貫校」のいずれかへの進学が選択肢となる。育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が説く、我が子の進学先を考える上で参考にしたいガイドである。
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私立及び国立中高一貫校を受験するために必要な勉強はまったく同じだ。サピックスや日能研や四谷大塚といった中学受験進学塾に小3の2月から通い、約3年間で準備する。特に小5の後半くらいからは、最難関校を目指す場合、受験勉強は過酷になりやすい。3年間の塾代の総額は200万〜250万円になる。
前述の通り、公立中高一貫校の入試では学力テストを行わないたてまえなので、適性検査を実施する(※前回参照 公立中高一貫校の場合は中学受“検”表記が一般的だが、本記事では“受験”と表記)。私立中高一貫校の入試のように4教科に分かれていないし、求められる知識量も少ない。1つの試験の中に、国語・算数・理科・社会の各要素が含まれている。その場で数百字程度の作文をさせる場合も多い。小学校の成績を得点換算して加算もする。東京都以外では面接を行う場合が多い。
本や新聞や図鑑を読むのが好きで、作文も得意な子供なら、 適性検査に有利だ。ずば抜けた計算力や知識は必要ないが、いわゆる優等生タイプの小学生に親和性が高い。逆に言うと、私立中高一貫校には、ずば抜けて勉強ができるけれど、決して優等生タイプではない個性的な生徒も多く、それが教室内の多様性にもつながっている。
公立中高一貫校対策の塾では、私立中高一貫校対策の受験勉強とは異なり、知識よりも読解力と作文力を重視した受験指導が行われる。平均的な対策に要する時間は私立対策よりも短く、小4の2月からの通塾がスタンダードである。東京ではenaという学習塾が公立中高一貫校に特化した指導で有名だ。
ただし、公立中高一貫校の倍率は高い。都立10校の一般枠の受験倍率は5〜6倍にもなる。しかも近年は難関化が進んでいる。四谷大塚の合格確率80%偏差値で、過半数が60を超えるようになっているのだ。私立難関校に匹敵する。
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