“指導でなく言葉の暴力” パワハラ被害「水球女子日本代表」父の憤り

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暴言でPTSDに

 塩田氏に話を聞くと、

「やられた選手は“膝が入った”と左目を腫らしていました。私の経験上、わざとでないと膝が顔に入ることはほぼありえません」

 一方、

「私も動画を見ましたが、西川の動きは全く問題ない」

 と語るのは、西川選手が所属する秀明大女子水球部の加藤英雄監督である。

「その場面を一番近くで見ていたのは、国内2級の資格を持つ女性審判で、彼女も“蹴ってはいない”“むしろ相手が自ら沈んだ”と証言しているのです。つまり、塩田さんの暴言はそもそも事実無根の言いがかり。しかも、翌朝も西川を呼び出し“わざとだったろ”と責め立てたというのです。こうなるともはや指導の域を大きく逸脱したパワハラと言わざるを得ません。西川は合宿後、PTSDと診断され、今も専門家のカウンセリングを受診しています」

 実は、6月に行われた関東学生リーグ決勝で、日体大は秀明大に苦杯を喫している。どうやら塩田氏はそのときの恨みから、代表合宿中の秀明大・西川選手に当たり散らしたようなのだ。

「翌朝は私も“熱くなって悪かったな”と謝りました。彼女が精神的に落ち込んだことについては、私の本意でなく、申し訳なかった」

 と塩田氏。しかし、

「泣きはらした顔で帰宅した娘は明らかに落ち込んでいて、そのまま部屋に閉じこもってしまいました。とても声を掛けられる状態ではありませんでした」

 と西川選手の父親が憤る。

「娘が受けたのは、指導というより言葉の暴力ではないでしょうか。娘は塩田氏がいるなら二度と合宿に出たくないと言ってますが、私たち親も同じ気持ち。いまだに謝罪はありません。日体大もJOCも、このような指導者の存在を認めているというのは一体どういう料簡なのでしょうか」

 東京五輪まであと2年。“選手ファースト”なら、やることは決まっている。

週刊新潮 2018年8月16・23日号掲載

ワイド特集「真夏の夜の夢」より

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